ワカメとナルト抜きで,その代わりメンマを増量することもなく,ただしチャーシューは入れる。

 ■ラーメンをめぐる戦い

 
俺は食べ物の好き嫌いが多いんだが,それには色々な代償がともなうんだぞという話を今日はする。


あと犬飼いたいという話もする。

 

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俺は普段の昼飯を社員食堂で食べている。

食堂のメニューは日替わりで,だいたいまあまあ美味しいんだが,たまに,この中から俺はいったい何食えばいいんだよっていうどうしょうもない日がある(この日のことを俺は「地獄」と呼んでいる)。

 

で,そんな時にはいつもの日替わりメニューではなくて,常設メニューのなかから醤油ラーメンを食べることとしている。
このラーメンはとてもシンプルで,よくある味の中華スープに,ワカメ,メンマ,ナルト,チャーシューが乗せてある素朴なものだ。
うん,まあまあうまい。

 ただし,問題がひとつあって,それらの具材のうち,俺はワカメとナルトが大嫌いで,メンマもそんなに好きというわけじゃないのだ。
すべての具材のうち75%を嫌いなものが占めている料理なんて何で食ってんだコイツって思うだろう。だけど,それらを抜いた25%は普通に美味しいし,腹持ちもいいからお昼ご飯にちょうどいい。それにそのラーメン以外の日替わりメニューはほぼ地獄だ。
なので,注文する時にはそれら嫌いなトッピングを抜いてもらうよう頼まなくちゃいけない。

 

ところが,食堂で盛り付けをしているオバちゃんは,大量のお客さんをさばいているおかげで,ラーメンのトッピングなんてのはだいたいリズムでやってるんだよな。
だから,こっちの「ワカメとナルト抜きで」という注文に「あいよー!」って答えたうえで平気でワカメとナルトをぼんぼん投入する!!

 

 この前のサブウェイの話じゃないけれど,本当に頭を下げながら「どうしてもワカメが無理なんで抜いてください。本当にお願いします」って泣きながら注文しなくちゃいけない。

 

で,オバちゃんがちゃんとワカメとナルトを抜いてくれたら問題解決・・・とはならない。

今度は,それを哀れ(?)に思ったオバちゃんが「あんたねえ,しっかり食べないと働けないわよ!!じゃあ代わりにオバちゃんがメンマ2倍にしてあげるからね!」とか言って,勝手にラーメンにメンマをぼんぼんぶち込みはじめる!
余計なことをするな!

 

たまに,メンマを増量するのではなくチャーシューを増量してくれるという神のオバちゃん(これを「チャーシューの神」と呼んでいる)にめぐり合うこともあるんだが,チャーシューの単価は高いので,なかなかそういうことをしてくれず,10回中9回はワカメとナルトを抜くかわりにメンマが山盛りになったどんぶりを渡されることになる(これを俺は「神か悪魔かオバちゃんロシアンルーレットラーメン」と呼んでいる)。


俺はもう最近,この不毛な戦いを回避するために,とにかく難しいことを言わないで「具は全部無しでお願いします・・・」と注文するようにしている。
こうするとオバちゃんもリズムで具を入れなくなるし,メンマを通常の200%投入されることもなくなるというわけだ。


で,その結果出てくるのは,ただのスープと麺だけという究極のシロモノだ。
(これを俺は「不毛な争いの結果,残ったのはさびれた大地のみだった。生き残った俺たちは,戦いの悲しみを忘れず,この何もない土地でまた1から生活をはじめなくてはならないのだラーメン」と呼んでいる)。

 

この結果,ワカメやナルトなどと共に,大好きなチャーシューも自動的に抜かれてしまうことになるのが難点だが,「ワカメとナルト抜きで,その代わりメンマを増量することもなく,ただしチャーシューは入れるように」などという複雑な注文をオバちゃんが聞いてくれるわけがないと思うので,もう面倒くさいこと言わずに全部抜き,これしかない。


このように,食べ物の好き嫌いというのは様々な代償をともなうものなのだ。

それかもう,ワカメとナルトを食べてくれる犬を連れて毎日暮らそうと思うんで,来月あたりイオンのペットショップに行ってこようと思う。