証券アナリストの資格を独学で取得する方法

こんにちは。

今年(2018年)の6月に証券アナリスト試験(2次)を受けてきた。

多分受かったと思うので、忘れないうちに勉強法やら試験内容の感想やらを、これから独学で受験する人たちのためにメモしておこうと思う。

 

なお、「証券アナリストとはこういうものです」「試験科目にはこれがあります」とかいう説明は、独学の勉強法を求めてここへ来た人には自明のことだろうから省略する。

 

まず、勉強にあたっては、人間の集中力と短期記憶を相当程度引き上げてくれる「スマートドラッグ」というサプリメントがおすすめ。特集記事へのリンクを貼っておく。

やる気の維持や、短期記憶力の引き上げに一役買ってくれるアイテムなので、他の受験生とかなり勉強効率が変わってくると思う。

 こんな怪しい宣伝から始めていたら、この先誰も読む人いなそう。

 

(追記)

無事合格していた様子。まあ、落ちてたらこんな恥ずかしい記事は今皆さんの目に触れることなくこつ然と消えているわけですが・・・。 

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試験の感想など。

 

1次試験(勉強期間・・・約2ヶ月間(ほぼ証券分析))

 

【1.証券分析】★★☆

 

馴染みの無い人にはとことん馴染みがない分野、それが証券分析。

なので、初学者には基礎から試験レベルまで勉強するのにとっても時間がかかる。

まあ「証券アナリスト」という資格なくらいだから、この「証券分析」がこの資格のキモだというつもりで勉強時間を裂こう。

 

もっとも、合格者一覧の職業欄を見ると、みなさん◯◯証券だのってのが殆どで(きっと職場で取らされているんでしょうね)、このあたりの理論的なことは仕事している中で身につけているのかもしれない。

他方で俺はほぼ素人だったので、イチから勉強せざるを得なかった。

 

 

証券分析における1次試験は、計算問題がメインだ。簡単な偏微分くらいまでを扱う。

で、こういうと「数学が苦手だったからまず無理だ・・・」と思う人もいるだろう。

でも、大丈夫。

理屈なんてしりません。どうしてこれがそうなるのかなんて説明できないけど、計算式は暗記してきました」で、十分合格点は取れる。公式の暗記、これだ。

 

 

というのも、証券アナリストの1次試験は、後述するように、過去問が一字一句そのまんま出続けるからだ。

まったく判で押したような問題の連続で、過去問を勉強していると「あれ? 間違えて同じ年度の問題もう1回やっちゃったかな?」と思うくらい。

 

そしてこれは、とりわけ計算問題で顕著だといえる。 

例えば「修正デュレーションは何なのか。コンベクシティってどういうことなのか」なんてのは正確に理解できていなくても、「金利が○%動いた場合における債券価格の変動を、修正デュレーションとコンベクシティの近似で求めよ」という問題が出た時に、それを導くための計算式が取り出してこられればそれで良い。*1

 

この手の計算問題は、問題文はほとんど同じで、中身の数字のみを入れ替えたものがほとんど。数学が苦手だからと言って諦めず、まるで漢字や英文を覚えるような作法で、この公式を覚えること。この作業を面倒臭がらずに出来た人から順番に受かる。

 

他方、文章の選択問題はというと、これもまるで自動車運転免許の仮免試験のごとく決まりきった問題ばっかり出る。新出問題も中にはあるだろうが、1割あるかないかなので、ここでも過去問の繰り返しのみが合格への最短距離だと言える。

 

それなのに、世の中には大学の先生が書いたような「証券分析」という分厚い本で勉強している人がとんでもなく多い!! しかも1ページ目からきちんと読む!! 最悪なのことにまとめノートまで作る!! 

これは証券アナリストで落ちる典型的な受験生の例と言っていい。

分厚い「基本書」なんて、本の最後に差し掛かる頃には1ページ目の方を忘れているから、問題を解くにあたってはまた「基本書」を開いて調べる。これ以上のムダな勉強がこの世にあったら教えて欲しいくらいだ。

このブログを読んでいる方は、間違ってもこんな勉強法なんか行わず、ただ黙々と過去問を繰り返してほしい。証券アナリストの資格試験に登録すると、ありがたいことに過去問が専用のウェブサイトで公開されており、更には答えと解説まで掲載されている。

これを使わない手はない。

証券アナリストは受けるだけでも数万円かかる高額な試験。勉強ではなるべくお金を使わないようにしよう。

 

 

【2.経済】★☆☆

 

経済学も証券分析と同様、計算問題が多く出題されるものの、これも証券分析と同様に、過去問の繰り返しで十分に合格点が取れるようになっている。

 

なので過去問の解き方のみを確認しておけば良いのだが、ゲーム理論、需要-供給バランスなどは、2次試験の理論問題で記述が求められるところなので、この際に理解しておくと効率が良い。

また、「状態価格」の考え方は、証券分析でも使われる「価格」の基本的な考え方なんだけれども、これまで金融経済に携わっていないと必ず躓く箇所ではないかと思う。

状態価格というのは、要するに「いろんなリスクのある将来を(確率に基づいて)全部考えた結果、この商品は今どんな価格になっていればいいのかなあ?」という話なんだが、これはきちんと方程式を理解しておくと、「証券分析」における「2項モデル」の活用や(難しくない)、リスク中立確率の理解に役立つ。ここも2次試験で問われるところなので、丁寧にやる価値はある。

が、間違っても「基本書」なんかで勉強しないこと。

計算式が自分で立てられれば良いだけなので、そのレベルに達するくらいまでで止めておこう。俺たちに残された時間は短いのだ。

 

ちなみに言うと、俺は勉強時間が足らず、この「経済学」をほとんど勉強せず(状態価格くらいはやったけれど)、残りの経済事情やら経済理論なんかは新聞とか池上彰のニュースレベルの知識で解いて、全く手応えが無かったものの、受かっていた。

よっぽどみんな出来てないのだと思う。

なので、過去問で5割~6割くらい取れれば、それ以上やる必要はないように思える。

その分の時間で証券分析の過去問周回を頑張ってほしい。

 

【3.財務分析】★☆☆

 

俺は簿記2級を持っていて、1級も何度か受験して挫折(笑)するくらいの前提知識があったものだから、後述する「大問4」以外、ほとんど勉強した記憶がない。

 

この分野の理論問題(正誤問題)では、簿記3級~簿記1級レベルの、非常に幅広い問題が出るため、これに対応するために簿記を学び直そうなんてやってると絶対に時間が足りなくなる。

なので、ここでもお決まりのように過去問で出てきたものをそのまま解説ごと暗記するのが良い。ここも毎年、同じ公式や計算方法を使って「数字だけ入れ替えた」問題のオンパレードとなっているからだ。

とは言え、「減価償却って何?」とか、問題文で問われている意味がわからないようであれば、ググって調べる。1次レベルの正誤問題などググるだけで十分だ。

 

 

とはいえ、「損益計算書」と「貸借対照表」のどこに何が書いてあるのかを一通り確認しておくと、問題を解くスピードが飛躍的に高まるので、きちんと覚えると良い。

こんなのは、受験生の大半を占める銀行員やら証券会社の人ならば常識なんだろうけれど、逆に言うとそれを常識としていない人がいちいち「えーっと、純資産って、貸借対照表のどこに書いてあるんだ・・・?」なんて探しているとそこで差が付いてしまう。

 

貸借対照表損益計算書を学習すると良い理由がもうひとつ。

財務分析最大の得点源である大問4の「デュポンシステム分解」が超楽勝になるんだ。

 

デュポンシステムとは、ある企業のROEを、3つの経営指標に分解して、それぞれの傾向や特徴を分析するもの。これがほんとまあ、なんでこんな毎年おんなじ問題ばっかり出すかねってくらいおんなじ問題なうえに、配点もバカ高いので、一種のボーナスステージになっている。

 

が、それを「ボーナスステージ」と認識できるのは、上記したように「損益計算書」と「貸借対照表」のどこに何が書いてあるのかがわかっている人たち。そうでない人たちは、問題用紙を埋め尽くす資料の中から回答に必要な数字を拾ってくるだけで手一杯、気がついたら時間切れ・・・なんてことになりがち。

財務諸表、大事。

 

この大問4だけで全体の3割くらいの配点があるから、これを9割くらい取れるようになってから財務分析の他の勉強をするのが近道だと思う。

 

 

以上、一次試験はほとんどが過去問の周回で難なく合格できるものだが、中には2次試験のために理解しておいたほうが良い分野もあるので、余った時間で(大事)詳しく見ていこう。

 

 2次試験(勉強時間・・・1次試験の知識1ヶ月半くらい)

 

  • 難易度

1)証券分析とポートフォリオ・マネジメント★★★★☆

2)コーポレート・ファイナンスと企業分析 ★★☆☆☆

3)市場と経済の分析 ★★★☆☆

4)職業倫理・行為基準 ★☆☆☆☆

 

  • 試験の感想

 

2次試験は、世間でもよく言われているとおり、[職業倫理]をいかに落とさずに切り抜けるかが最重要の課題となる。

正答率6割程度で合格と言われている本試験では、この職業倫理さえ満点ならば、あとの問題は全体で5割以下の正解でも受かってしまうことになる。やる気担ってきました?

 

また、職業倫理の問題内容は、ありがたいことに、問題に書かれていることを読んで、付属のアナリスト規定集で条文を確認し、後は常識で考えれば答えが書けるもの。

なので、逆に言うと、間違ったとしても語句の埋め1問だけとか、そういうレベルが求められる。そのためにも、この職業倫理の対策を怠らないでほしい。

 

ところが、世間では誰もが「楽勝」「サービス問題」などと言うおかげで、職業倫理の対策を一切行わず、「どうせ、試験問題には資料として職業倫理基準がついてるんでしょ。それ読みながら解きゃ満点じゃんw」とか思っている人があまりにも多い!

それ罠だ!! 死ぬぞ!! 

 

というのも、本試験ではその職業倫理規定を悠長に読みながら検討してる時間が全然ないんだな。

証券アナリストの試験時間は、午前午後あわせて7時間という超長丁場だが、全然時間足らんからなマジで。

俺は実際、その7時間ほぼノンストップでペンをはしらせ続け、回答を終了したのがそれぞれ試験時間終了の10分前くらい。それも、一見してわからない問題はほぼノータイムでパスしてその時間。完答せずに時間足りてない。

 

なので、2次試験の中でもとりわけ長文を書く必要のある「職業倫理」では、問題文を見た瞬間にあ、これはだいたい倫理基準のあそこに書いてあったな。覚えてるけど一応見るか」といって、すぐにその条文を開きつつ、即座に解答用紙に解説を書くことができるくらいまで勉強しておいたほうが良い。

「楽勝」などではまだだめで、「瞬殺」すること。

そのためのトレーニングは絶対に必要となるから、面倒でも過去問を確認しつつ、回答の仕方を確認しておくこと。

この科目はたしかに簡単だが、ゆっくり考えてる時間はないぞ。 

 

それ以外の科目について言えば、1次試験同様にだいたいが過去問どおりの定番問題が5割~7割くらい。

そして残りが、最新の金融経済学の論点や、摩訶不思議な問題。

そういう難解な問題は、受験生を面食らわせたり、無理に解かせようとして時間オーバーすることを狙った罠問題だ。ただでさえ時間が足りない2次試験は、絶対に手を付けてはいけない。試験では一見してわからない問題はその場で考えても絶対にわからないので、素早く次へ行くこと。

時間がなく、かつ、正答率6割で合格できる試験において、そういう「絶対わからない問題」をじっくりやっている価値はほとんどゼロだ。

なので、「ああ、そういう問題は僕いいんでw」「しめしめ、今回の罠問題はこれですか。その手は食いませんよ」などと心の中で(素早く)罵ってから、すぐにパスすること。 

デカい解答用紙がまるごと白紙になるので肝を冷やすけれど、それで構わない。

現に俺は何枚もの白紙答案を提出したけれど、問題なく合格した。

むしろヘタに構って(せめて部分点を・・・)なんてやってると、後半の簡単に正解できる問題をやる時間がなくなる。

 

「部分点を取る努力」は、最後まで解き終えた後、それでも合格点に達さないと見込まれる場合に初めて行うものだと思ってほしい。

「どんな問題でも、ちゃんと自分で考えてやれば解けるはず!」とかいう完璧主義者には辛い試験だが、我慢してほしい。

 

・その他の感想・・・1次試験の知識は持ち続けよう。

 

2次試験の勉強期間も1次試験と同じくらいで、過去問を周回していた2ヶ月ほどだったが、1次試験の知識をかなり応用するので、1次合格後、なるべく忘れないうちに2次の対策を始めたほうが良い。

 

というのも、みなさんご存知のとおり、この資格には、「1次試験に合格しても、2次試験を受けるまでには、協会の指定する講習を受けなきゃいけない」というアホみたいな制度があるんで、例えば今年の5月に1次試験に合格した人(がここを見ている可能性も高いが、だとしたら君)が2次試験を受けるとすれば、どんなに早くても翌年の6月になる。

 

まあ何もかも忘れてるよな! ゴーストオブツシマ面白いもんな!!

 

共分散ってなんでしたっけ? 

βってどう求めるの? 

シャープレシオってなに?

赤ちゃんはどうやったらできるの?

 

1次を合格した受験生が、1年経つうちに本気でそのレベルになっちまうから、そうだとすると2次試験の勉強の手間が2倍かかる。

 なので、せめて月に1度くらい、1次試験の過去問を1週したり、テキストをざっと見て知識の維持に務める。これくらいしておいた方がいいと。

ちなみに協会の配るテキストは、2次試験を合格した人が読み返す分にはよくまとまっていて分かりやすく感じるんだが、1次試験を合格したばかりの人が読むとあまりに難解で、2次試験を受けるモチベーションが激下がりすることうけあい。

また、2次試験にはあんまり出ないような論点も多く掲載されているので、試験直前の確認程度に大切に持っておこう。ここでもあくまで勉強に使うのは過去問だ。

 

・1次試験と2次試験の違い

 

1次試験では計算が出来て、答えが合っていればそれで良かったが、2次試験では「その答えが意味するところ」を記述する必要がある。これが最大の特徴だ。

 

先程もあげた例として「修正デュレーションとコンベクシティを用いた債券価格の変化を求める」ことについて、1次では「債券価格はこれだけ変化します」と数字を書いて正解だったものの、2時では「(式を示した上で)このように、修正デュレーションが大きいほど金利変動の影響を受けて、債権価格が下落する。また、修正デュレーションは残存期間が長い債券ほど大きくなる。よって、残存期間が長い債券ほど金利上昇時の価格下落率は高くなる。従って、このポートフォリオではよりリスクが高い」のように、自分が計算した結果を日本語で説明する必要があるのだ。

 

これだけ言うと難しいと感じるかもしれない。でも、大丈夫。これもほぼ毎年決まった論点しか出されないから(ファクターモデルの項目を説明せよ。とか)、これも過去7~8年分の過去問をやって、頻出問題を潰していけばよい。

そう、やることは1次試験と同じ。

初見の難しさに、心を折ってはいけないし、間違っても「証券ポートフォリオ概論」みたいな分厚い「基本書」を買ってはいけない(悪質なことに、勉強のサポートとしてアナリスト協会が専用サイトで宣伝してるんだけど)。

 

以下、証券アナリスト試験(に限らず、各種の資格試験)における基本的な勉強法を記載したので参考にしてもらいたい。

 

・関係ないけど・・・資格試験勉強のコツみたいなもの。

 

証券アナリスト試験に限らず、資格試験で出される問題は過去問からの抜粋だから、過去問を中心にやることになる。

というか過去問以外やらんでいい

この事実を知らないか、あるいは知っていても「不安だから」「勉強している気がしないから」という理由により、分厚いテキストを買って読み始める人がかなりいるんだが、みんなはやめよう。

そして、周りでそういうことをしている人がいたら黙っておこう。そういう人たちがいるおかげで俺たちが受かるんだからな。

 

誤解のないように言うが、「テキストを買うな」とは言わない。「勉強を始めるにあたって、まず分厚いテキストを読むような事をしないほうがいい」ということだ。

 

 

その理由は上でも散々言ってきたように、勉強時間がいくらあっても足りないからだが、要するにそういうテキストは網羅的すぎるんだ

 

テキストには「過去問に1度でも出たから」という理由で載っている項目もあれば、他方で、ここ5年間の本試験で毎年出ている項目もある。

もちろん、重要なのは後者なのだが、そのふたつが、テキストからだと判断できない。

どれが大事なのかもわからないまま、そのふたつを同じ努力で勉強する。

こんな非効率なことってないよな。

 

それを避けるには、まず過去問をやる。過去問をやって、そこで出てきた箇所だけテキストを見る。

そして、その問題を解くのに必要な部分だけ見て覚える。

テキストの使い方としてはこれ以外に無い。

 

・まとめノートは作らない。

 

 それにもかかわらず、世の中ではこの「テキスト信仰」が根強くて、とにかく「テキストの内容を咀嚼することこそが勉強なのである」と思っている人がとても多い。上でも触れたが「本質的な理解が大切なのである」と言って毎年落ちている人に、こうした傾向が見られる。

 

その典型的なのが「教科書まとめノート」というやつだ。みんなも一度は作ったことがあったと思う。俺も学生時代に作ったが、今から思うと大失敗だった。

 

というのも、単刀直入に言って、あのノートがどれだけ役に立っただろうか。

というかそもそも、ノートが完成した後にどれだけ見ただろうか?

作ったことに満足して、後から見ないまとめノートがこの世界には星のようにあると思うんだがどうだろう。

 

この点については声が枯れるまで繰り返しておきたい。

とりわけ参考書がすでに十分出回っている資格試験や受験勉強において、テキストや教科書のまとめノートを作成する必要なんかない、それどころか害悪ですらある。

 

 

 証券アナリスト試験のように、「過去問から中心に出題される」試験において、テキストを丹念に読んで、そのまとめノートを作るってのは、100m先のコンビニに行くのにその場で部品から組み立てた車に乗っていくくらい非効率なんで、みんなは絶対止めよう*2

 

 

 どうしてもまとめノートを作るならば、

前提:過去問で繰り返し出題される事項であって(重要)

1.何故かわからないが、不思議と覚えられないこと、

2.講義中に説明されたことで、今メモしないと二度と参照できないこと、

3.自作の図やイラスト、グラフが無いと理解できないこと、

 

のいずれかのパターンに該当する場合だけにしておこう。

要するに「今ある本をまた読みゃわかる」ことについて、わざわざノート作っちゃだめだ。

 

他の試験にも言えることだが、、この証券アナリストの試験についてはとりわけ、過去問をやった回数に正比例して点数が上がる仕組みになっているんで、テキストの内容をノートにまとめることはもちろん、テキストを頭から熟読する行為すら無駄なので、さっさと過去問の演習から入ること。

 

・予備校が出してるテキストも買わんでいい。

 

 このように主張するにはまだ別の理由があって、証券アナリストの試験は受けるだけでも金がかかる(必須の通信講座と受験料を合わせて最低13万円程度)。

 

この上さらに、総まとめテキストだとか、問題集だとかをTACとかから買うと、1冊だいたい3,000~4,000円だから(平均3,500円×(テキスト3冊+問題集3冊)、1次試験に用いる本だけで2万円程度かかる。

これがさらに2次試験で使うテキストだの問題集だの買っていたら、資格を取得するまでに20万円弱かかる。

 

 この資格をとることで直ちに給料が上がったり、良い会社に就職できればいいんだが、国家資格でもない本資格にそんな価値は(普通の状況であれば)無いと思うので、出来るだけリーズナブルにやろう。

そして、そのリーズナブルな方法こそが合格への最短距離である。

 

そこへいくと、ありがたいことに、過去問とその解答(解説まで!)は、証券アナリスト協会のウェブサイトで無料で公開されている。これを使わない手はない。

事実、俺は1次試験も2次試験も、過去問対策はすべて協会の公式サイトのダウンロードで済ませた。残された時間にもよるが、そこから入手できるすべての過去問をやろう。

 

証券アナリストの勉強法を解説したサイトの中には、この無料公開されている過去問及び解答をバカにしているのもあるが、解説を見比べても(2次に関してはTACの過去問を買ったが、ほとんど使わなかった)対して変わらない。

協会の出している過去問の解説はまあまあ優秀なのだ。

 

  

・過去問の解説をテキストにする。

 あなたはここまでで、TACのテキストの購入を中止し、用意していたノートを捨てた。そして協会のウェブサイトから過去5年分程度の過去問をダウンロードし、それをプリントアウトしてきた。

以下、その過去問の使い方を説明する。なお、これは証券アナリスト試験のみならず、他の資格試験等でも俺が活用している方法だ。

 

1.問題を読んだら即座に答えを見る。

 

ここまでのプロセスで、俺達はテキストを一切読んでいない。

それにも関わらず、過去問を見た。その当然の帰結として、まったくわからない。

 全くわからないにもかかわらず、ここでウンウン考えてるのは100%時間の無駄なので

1.問題文を読んだら、すぐに答えを読む

2.そして、その答えの通りに理解し、暗記する。

3.その直後、もう一度その問題を解いてみて、さっき見た答えのとおりに解答できるか試す。

 

これだ。

 

例えば以下の文章○×問題を考えてみる。

 

問「新株予約権は株主にとってのプットオプションとみなせる・・・◯、✕」

 

これはもう、なんでこんなのが毎年毎年、ほんっっっっと飽きもせず出るかねえって問題で、そのとおり毎年毎年出ている問題だ。

これはすぐ答えを読むと、「行使することによって新株が割り当てられることから、新株予約権は株主にとってのコールオプションである」とか書いてある。

 

そしたら、問題文の「プット」を二重線で消して「コール」に書き換える。そうすると問題文が正しい文章に変わるから、それをそのまま覚える

計算式が必要な場合はそれも近くに書く。

 

このように、問題文に直接、正しい答えと、その導入プロセスを記入していく。こうすることで、「アウトプットを求められる形に合わせてインプットする」ことが可能となる。

これが資格試験の勉强方法として極めて合理的かつ効率的な方法だ。

 

2.解説でもわからん場合にテキストを見る。

 

 ここまでで次の疑問が湧く。そもそもオプションって何だ?

 

この過去問の解説をテキスト代わりにする方法だと、しばしば「過去問の解説も何言ってんだかよくわからん」という自体に出くわす。そこがテキストの使いどころだ。

 

このように、過去問+過去問解説で勉強を進めつつ、その解説でも本気で何言ってんだかよくわからん時(かつ、そこを理解しないと次に出た時に回答できない場合)、テキストでその部分を解説した場所を読む。

基本、これ以外の方法でテキストは使わない。

 

佐野三郎の本(「合格最短テキスト」)を読むと、「コールオプションは資産を買う行為をすることの権利」なんだということが端的に書かれている。「新株」を「予約」するんだから買う権利、つまりコールオプションだよねと覚える。

 

ちなみにこの「合格最短テキスト」は、語り口調で読みやすいうえに要点がまとまっていて、余計なことが書いてないからおすすめしたい参考書だ。

 

 

3.ネットの用語集もかなり使える。

 

もっとも、こんな基礎用語であればテキストではなく、それこそ「ググる」だけで立ちどころに解説にありつけるので、テキストを開く必要もない。

野村證券のサイトで十分だ。

この用語集は本当に完結に、分かりやすくまとまっているから、俺はこれをよく活用した。ありがとう野村證券

 

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なんか最後は全く関係ない勉強論みたいな話が多くなったが、だいたい以上のやりかたで、1次試験(証券分析、財務分析、経済)および2次試験はそんなに苦しむことなく突破することができたので、諦めずに頑張ってほしい。そして、こんな資格はさっさと取得して、立派な銀行員、証券マンになるため、早く表舞台に出ていくんだ!

 

*1:

こう言うと、必ず「そんな、本質を理解していないような勉強法に何の意味が?」と決まって言われる。

こういう意見は、有資格者のみならず、いつまでたっても試験に合格しない受験生からも聞かれることがある。そういう意見は必ず無視することだ。

 

『本質的な理解』なんてのは、机の上でのお勉強だけでなく、仕事をする上で実際に操ることでしか出来ないことだ。いくら完璧な成績で証券アナリストの資格をとったって、それで仕事ができるわけじゃない。でも、この資格がないと任されない仕事がある、だからあなたは資格を取ろうとしている、でしょ?

だから、考えられる最も効率的な方法で資格を取ってしまって、仕事を任される土俵に立ち、後はそこで「使える知識にする」。これが大切だ。

公式なんざ丸暗記でいいんだ。

*2:これも繰り返すようだが、周りでそういう作業をしている人がいても止めないこと。さっきも言ったようにまとめノートは「信仰」に近いので、無理にやめさせようとするとトラブルに繋がることと、結果的に非効率な勉強をしてくれているおかげで相対的に自分が助かっているので、止めさせるメリットがない、可哀想だが放っておこう。俺は読者にそういう目にあってほしくないからこうして言っている。