社宅について

今回は、主に来年から新入社員となる人に向けて、「社宅」の良し悪しについて述べたいと思う。みんなが気になる憧れの「社宅住まい」。実際のところ、どんな感じなのかな~^^ 

 

 【社宅に人権なし】

なんかもう出オチみたいな感じになってるよな。

 

これから新生活を迎える皆さんの中には、社宅住まいを検討している人もいるだろう。

社宅の魅力は何といっても家賃が低い(相場の半額か、それ以下である)ことが挙げられ、とりわけお金のない新入社員が貯金をするために絶好の物件であることは疑いようがない。

 

実際に俺はそう思い社宅に入居したのだが、これがひどい体験だった。

まず、自分に割り当てられた社宅は、昭和40年頃に建てられた廃屋のようなところの1R。俺は歴史に詳しくはないけれど、昭和40年っていったら多分まだ戦後の焼け野原を連合軍のジープが走ってる頃だと思われる。広さは4畳半で、お風呂、キッチンとトイレは共用。通常、我が国でお金を支払わずにモノを持って店から出てくると強制的に住まわされるのが概ねこのような間取りの部屋だ。

 

4畳半だと基本的にはお布団を敷いておしまい。罪を犯して収監されたのだから当然のことだ。

で、中には少しでも文化的な生活をしようと大型テレビを買うような人もいる。すぐに映画館同然の部屋になるからな。

俺の同期では、どうせ布団しか置けないなら、俺はその布団にこだわるんだとか言って、セミダブルくらいある巨大なベッドを持ち込んだ人がいる。一度、彼の部屋に招待してもらったことがあるが、本当に部屋の隅から隅までピッチリとベッドでやんの。で、彼はスーツを脱いでからベッドに上がり込み、ベッドの上に展開できるテーブルを組み立ててお茶を出して「ゆっくりしていきなよ!」。お前は入院でもしてるのか。

 

社宅では更に、家賃が給料天引きではなかったから(これは確認しておいたほうがいい)、先輩社員の部屋を回って家賃を集めたり(どうしても居留守を使う悪質な社員がよくいた)、共用部分を自分たちで清掃したり、共用のお風呂をかなり汚らしく使っている人がいて入浴する気が無くなったり、とにかく不便という不便をすべて味わった。

 

とりわけ、お風呂に関しては、そんなどうしょうもない社宅にすら彼女を連れ込んでいる男がいて、その彼女に一人でお風呂を使わせるために、他の人は使用禁止、自分は風呂の外で見張っている、お前は何の門番なんだよってことすらあった。

そうしたことがあって、俺は4月に住んで半年後の10月にはここを出た。

 

【良い社宅に住めるのは、偉い人】

とは言え、ネットで社宅の評判を見ていると、住心地に満足して、お金も溜まっているという羨ましい人たちも一定数存在する。彼らは一体何なのか? 前世でいったいどれほどの徳を積めばああいった生活が送れるのか? 

 

生まれてこのかた交差点で困っているすべてのお婆ちゃんをおんぶして渡ってあげたとしてもそういう人生に生まれ変われるとはとても思われない。 

なので、これについては、優良な社宅に入る人間の優先順位について知っておく必要がある。

社宅だって無限に存在するわけじゃない、また良い設備の社宅は建築費も管理費もかかる。したがって、これを非営利目的(福利厚生)で提供するためには、そこへ入る人間に優先順位をしっかりつけて、要するに俺らみたいな新橋のガード下でも生きていけそうなやつには遠慮してもらわないといけないんだな。

 

で、その優先順位の上位に来る人というのが、「偉い」かつ「家族がいる」ことだ。

こうした人達が「世帯型社宅」というものに入居することが許され、約束された幸せの生活を送ることができる(住んだこと無いからわからんけど)。

では、ここを読んでいる多数の読者(そして俺)が該当するだろう20代の独身に対して、いったいどんな物件が割当てられるだろう。想像に難くない。たまに風呂からお湯がきちんと出ただけでも飛び上がって喜ばなきゃいけないようなシロモノだ。

 

そのレベルでなくても、設備は古い、壁は薄い、ことによると先輩とのルームシェアなんてこともある(弊社の社宅では女性寮で、行ってみたら3人のルームシェアだった、みたいな話もある)。

 

【社宅はだいたい立地が悪い】

加えて言えば、社宅の設備自体は優良でも、それが駅の近くにあるということはほとんど無いといっていい。だいたい「なんでこんな不便なところに建てたんだかわからない」と、ネットにその何もない地域の写真とともに愚痴りたくなるくらい変なところに建っているというものだ。

なぜなら、そうした家賃の取れそうな好条件の立地には、すでに富裕層向けのマンションだとか、賃貸マンションが所狭しと並び立っているから、こんな所詮「福利厚生で作っときました」みたいな社宅が存在する確率は極めて低い(第一、良い場所に建設する理由がない)

ネットの掲示板などを見ると、自分が住んでいる社宅について「なんでこんな不便なところに建てたのかわからない」などと山奥の写真とともに愚痴を言っている人が多く見られるが、商売目的じゃないのでまったく当然のことだ。

 

で、この問題は、当然ながらもろに通勤時間に関わってくる。

弊社の例で言えば、ファミリー向けの比較的新しい社宅であっても、最寄りの駅まではバスで10分かかる(その後電車で会社まで40分かかる)。

トータルではそれなりだが、バスというのは非常に交通事情の影響を受け、電車の比ではないくらい不安定な乗り物だ。駅までは歩けたほうがいい。それを許容するか?

このように、仮に優良な部屋を引き当てたとしても、「立地」で大きく損をすることが社宅の大きなデメリットだ。

 

【社宅宝くじ戦術】

例外的に、立地も良し、築年数も浅く、更に広い社宅(別名天国に一番近い社宅)というのもきっと1棟くらいあるのかもしれないが、前述したように、そういうものはほとんど役員の世帯用だとかに供されているから、望むだけ無駄というものだ(ただし、みんながそう思って応募しなかったら入れる可能性はあるから、可能であればその社宅だけに限って入居希望を出すという手はあるが(これを俺たちは社宅宝くじと呼んでいる。))。

 

【新人のうち、家にも問題を抱えると鬱になる】

 

さらに言えば、この新入社員の時期は、毎日の仕事のことでほぼ頭がいっぱい、怒られたり失敗して帰ってくることが多く、そんなときにただ布団だけが敷いてある4畳半の部屋を見たらどうか。風呂にいったら「いま彼女が入ってるからお前は来んな」と言われてみたらどうか。一晩以内に鬱になってお母さんに電話するからな。

それよりは、毎月あと数万円支払ってでも人権を買ったほうが良い。俺はここに思う。基本的人権は金で買うものだ

少なくとも、社会人としての生活が落ち着くまではそうしよう。

どうしてもお金が貯まらなかったり、結婚してから夫婦で貯金をしようとなたら、人権を切り売りし、我慢して入るもの。社宅について俺はそう思っている。

 

【入居・退去の費用が安いから、試しに社宅もアリ】

ただし、以上のような事情も、会社によってまちまちだから、いつまでも迷ったあげく、結果、賃貸マンションを決める時期が遅くなるくらいだったら、思い切って応募したらいいと思う。

俺も一度入ってすぐ出たように(実質180日も住まなかった。突然現れていなくなったセミみたいなもんだ)、大抵の場合は後からすぐ変更できるから、ちょっと住んでみてダメそうだったりしたら変えたら良いんだ(ただし、会社によっては「入居1年以内は正当な理由なく解約不可」などといったこともあるから要注意。ネットで調べると実際に引っ越したくてもできない人の不満が出てくる)。

 

妙な違約金が(一般的には)かからないこと、入居退去費用が安いこと(敷金・礼金・仲介手数料がかからない)から、「ちょっと住んでみてやっぱり止める」のがしやすいのが社宅のメリットの一つだと思う。

いろいろ経験していろいろ失敗しない限り、成功はないと偉い人が言っていた。

 

 

【まとめ】

お金のない若いうち、社員寮というのは安くてとても魅力的に映るかもしれないが、実際のところ割当てられるのは人を3~4人殺してぶちこまれる部屋とあんまり変わらない物件であることが多い(更に駅から遠い)ので、それであれば、年間であと20万円ほど上乗せして人権を得たほうが割に合っているというのがこの記事の結論だ。なぜ働いているかというと働いたお金で人生を幸せにするためだからな。

 

もっとも、上記した社宅の良し悪しについては、結局「自分の性格次第」だということもある。

4畳半でも問題ない(部屋ではいつも寝てますから)、キッチンが共用だって構わない(毎日カップ麺ですから)、通勤時間も大丈夫(朝早起きなんで)、という人は、とにかくお金は貯まるだろうから社宅で良いと思う。そのあたりは自分の性格と相談して決めてほしい。