引っ越しについて

前回は社宅についての感想を書き、それなりに反響があった(その中でも驚愕だったのはハーゲンダッツが振る舞われる寮の話だ(社宅じゃないけど))。

 

このように、住まいに関連した事柄には皆さんもかなり関心があるようなので、今回は同じく住まいに関する話題ということで「引っ越し」に関しての経験談や、アドバイスを書こうと思う(アクセスアップのためには俺のいっこうに上達しないピアノの話なんて金輪際しないほうがいいようだ)。

 

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俺が一人暮らしを始めたのは社会人になった後のことだが、その後10年間にわたって7回ほど引越しを経験していて、これは平均よりは多いほうじゃないかと思う(このことを言うと、大抵の人は俺のことをヤクザから多額の借金をかかえながら身を隠している人だと思うようだ)。

 

なので、今回は、そうした引っ越しの中で色々と失敗した経験(あるいはヤクザを上手に撒く方法)を紹介することで、皆さんの今後の引っ越しの参考にしていただきたいと思う。

 

なお、前半では「いつ引っ越すべきか」について、後半では「引っ越し業者の選び方」について述べる。

 

 

 

引越に適した時期について

 

今年、かなりニュースにもなり、Twitterのフォロワーでも困っている人が続出したのが、3月に引越し業者足りなすぎ問題だ。

 

 年間を通じて最も引っ越しが多くなるシーズンがこの3月で、ここで引っ越しをすると他の時期とは桁違いの高い料金をとられるし、そもそも引っ越し業者が空いていないことから引っ越しができず、結局4月からの新生活では路上にゴザを敷いてみんなから小銭を投げてもらって生活する必要が生じる(これを「引っ越し難民」という)。

 

それはちょっと嫌だからと、高いお金を支払って業者が決まったと思ったら、これがどう見ても最低賃金で雇われているような中学生みたいな子が2人ほどやってきて、奴隷みたいな目をしながら冷蔵庫を運んでいるから心配になる(子どもたちと冷蔵庫が)。

 

3月ギリギリのタイミングで引っ越しを頼むと、常にこうした問題に直面することとなる。

 

これを避けるには2パターンある。

 

.早めに引っ越しを決めて、余裕をもったスケジュールを確保する。

 

うん。このことが絵に描いた餅なこと、よくわかっている。

俺たちの何が苦手かって、早め早めの行動をすることだ。

 

 とりわけ俺は、小学校の通信簿で6年間に渡り「早め早めの行動を心がけましょう。授業が始まってから移動教室に来るのはやめましょう。その後すぐ忘れ物を取りに戻るのもやめましょう。それから手持ち無沙汰な時に筆箱のフタをパカパカやって遊ぶのもやめましょう。みんなの迷惑となっています」と書かれたくらい早めの行動が苦手な人だ(後半は関係ない俺の特殊な性癖についての非難だが)。

 

また、君がのんびりマイペースな性格でなくとも、就職や、入学などの新生活がどこの場所でスタートするか(そもそも引っ越しが必要か否かについても)判明するのがだいぶ差し迫ってからで、3月にならないと引っ越しができないケースも結構ある。そうした人は可哀想というほかない。

俺自身も、以前は「転勤が決まってから引っ越しまでが1ヶ月弱」というスケジュールを強いられる環境で働いていたから、暇な時にあらかじめ自分が転勤しそうな支店に近いところにある賃貸物件を探しては、お気に入りに入れておき、転勤が決まったと同時に不動産屋に連絡して内見予約を入れてもらうようにしていた。

それが間に合わなきゃしばらく職場の近くの土管に湿ったブランケットを敷いて寝るか、そのへんの交番に包丁を持ちこんで冷たいけど一応は屋根と壁のあるワンルームに入れてもらうかしかない(なお後者の場合は失職するリスクが高い)。

 

ここでこの世界の法則をひとつ述べたい。

この世界はのんびりしていてもある程度大丈夫だが、のんびりした人から順番に金がかかるようにできているぞ

 

で、そうではなく、半年前程度から自分の新天地が決まっている人。

これは遅くとも年明けから動いたほうがいいい。

具体的には以下のスケジュールだ。

 

 

  • 具体的に住みたい地域を決める:年末まで
  • 住みたい物件を決める:1月中~2月上旬まで
  • 引越し業者の予約をする:2月中
  • 引っ越し:3月中(できれば2週目まで)

 

最後の【引っ越し:3月中(できれば2週目まで)】に注目してもらいたい。

そもそも、「3月(具体的には3月ラストの週)に引っ越し業者足りなくなる問題」は、言い換えれば「みんな3月ギリを狙って引っ越しすぎ問題」だといえる。

 

新生活が4月1日から始まるとして、それまでに部屋を契約しても実際に住み始めるまでの家賃がもったいない。従って、本当にギリギリになるまで契約を待ってもらい、なるべく家賃の無駄を無くそう。みんなこう考える。だから月末の引越し料金が高くなるし、業者も見つからないことになる。

俺はここで主張したいのだが、たとえ家賃を無駄にしてでも、引っ越しは3月の上旬などかなり前倒しで引っ越すべきだ。その理由は次のとおり。

 

 

イ.引っ越し難民にならず済む。

 

これだけはどんなにお金を支払っても避けなければならない。既に引っ越し業者が決まっているという安心感を買うのだ。安心感はタダではない。また、実際、本当に引っ越しができない可能性もゼロではない(社会問題になっているくらいだから)。

 

 

 ロ.家賃をケチっても、引っ越し代が高騰してプラマイゼロになる。

 

 3月末のギリギリのタイミングは需要が高まるので、引越し料金が高騰するとは上記したとおり。

そこで、引っ越し日ごとに料金の見積もりが可能な引っ越し予約サイトを見たところ、具体的には以下のような価格付けとなっていることがわかる。

 

  • 3月10日(土)時間指定なし:41,300円
  • 3月31日(土)時間指定なし:81,130円
  • (1Rタイプでの単身の引っ越しを想定)

 

この業者の場合、たった20日間で4万円も高騰している(大抵の場合は、春分の日をはさむ3連休で価格と混雑状況が最大となるようだ)。毎年のように台風でキャベツがやられている農家だってもうちょっとソフトな値上げするもんだ。

 

それじゃ、この20日をケチって浮く家賃は一体いくらだろうか。

引っ越し代が4万円高くなってもいいから、ギリギリに引っ越ししたほうがお得な場合の月額家賃を日割りで逆算すると、最低でも6万円以上の物件でなければならないことがわかる。

 

東京都近郊の物件であれば家賃6万円は(間取りによるが)やや安いほうの物件だと思うが、それでもやっとプラスマイナスゼロのラインで、そこに加えて引っ越し難民になりかねない不安や、翌日からの新生活のためのドタバタが待ちうけることになる。

 

そんなら、それらの危険に対処するため、ここの20日間は相応の買い物として割り切った方が良い。それよりも礼金ゼロの物件を一生懸命探すほうがずっと合理的だ(このことは賃貸物件を探しの話をする際にも言及する)。

 

 

ハ.引っ越してからちゃんと生活できるようになるまで、結構時間かかるぞ。

 

引っ越し経験者なら誰しもわかるだろうが、荷解きは、荷造りの2倍の時間かかるぞ。

というのも、荷造りは手あたりしだいに全てを段ボールに投げ込むことで完了するが(小説と自分のパンツが同じ段ボールでもお構いなしだ)、荷解きはそれらを棚の所定の位置に戻すという頭脳労働が伴うからだ。本は書棚に格納し、パンツは履く。

 

 更には、ライフラインの契約、役所への転入届などの手続き、自転車を使うなら駅前の駐輪場も借りるし、新たな家具が必要になればニトリに行く必要もある(カーテンの長さはほんとに足ります?)。

 

 これらの準備が不十分な中、不慣れな新生活を始めるのはものすごくストレスだから止めたほうが良い。

 

想像してもらいたい。初めて行った会社で、全く知らない人だらけで緊張する中、よくわからん仕事を教えられ、いろいろ怒られ、この先やっていけるかどうか不安な中で住み慣れない家に帰ってきて、扉をあけたら段ボールの山、そしてカーテンの長さは足りていないから部屋をうろうろする自分の足が外から見えている。

 

こんなの初日で半ベソかきながらお母さんに電話するぞ。

 

俺たちは、外にも中にも問題を抱えて行きていけるほど強くない生き物であることをちゃんと認識して、ゆっくり生きていけるスケジュールを考えないとだめだ。

 

 以上のことから、余計なお金を支払ってでも、新生活が始まる10日~20日前に引っ越しを終えておくことをオススメする。

具体的には、210日からの建国記念の日を利用した3連休で物件を決めて契約する。 家賃発生日(鍵の受け取り)を一ヶ月後の310日として、引っ越しもその日に合わせる。

 

不動産屋によっちゃ1ヶ月も待ってもらえないケースもあるが、だいたい無理を言えば大丈夫。このあたりの事情や、交渉時に何を言えばいいのかも、次回の賃貸物件編で述べる。

 

 

2.そもそも3月に引っ越しをしない。

 

これは、4月から新生活がスタートする以外の理由により引っ越しを行う場合の話だ。

例えば、契約更新に合せて引っ越す、結婚や同棲を機会に引っ越す、または顔も名前も変え、自分のことを誰もしならい土地で生まれ変わった人生を開始したいという場合(主にヤクザから逃げることを想定)が該当すると思われる。

 

 この場合、無理に3月に引っ越しをすることは無駄でしかないから絶対止めたほうが良い。意外とよくあるのが、新生活にあわせて3月末に契約し、そのまま契約期間満了の2年後まで住み続け、更新費用を支払うのが嫌だからそのタイミングで引っ越すというもの。

この場合は、契約期間満了の3月末まで待たずに(2年間未満の解約に違約金が発生するなら別だが。たまにある)、さっさと引っ越したほうが良いことだらけだ。

 理由は、上記した「3月混雑しすぎ問題」の逆で、「他の時期に引っ越す客少なすぎ問題」もまたあるためだ。

 

試しに、11月の中旬くらいに引っ越し業者の見積もりをとってみてほしい。

最初はそれなりの値段だとしても、「うーんどうしよっかなー」とか言っていると、まばたきをしている間に「こんな金額で人間って働けるんですか?」みたいな価格まで値下げしてくれるのが常だ。

 

俺が11月に引っ越した時は、同じ市内での移動とはいえ、ベッド、本棚、テレビ、作業机、冷蔵庫、洗濯機などがある部屋を21,000円で大人3人に作業していただいた。

それからというもの、よほどの理由がなければ、引っ越しは10月末から12月末、あるいは1月などの閑散期にやってもらうこととしている。

 

このことは賃貸物件の契約にも言えて、キャッシュバックキャンペーンや、仲介手数料半額(あるいは不要)などの特典がつくのもこの時期だ。

 

ここで第二の世界の法則を述べたい。

何事も、需要が減る時にいろいろやると当たり前に幸せ」。これだ。

 

 

引越し業者について

 

さて、ここからは「業者」の話をする。

引越し業者を選ぶ場合、これまでの経験上、どこでも良いので一括見積もりサイトに登録するのが良い。

その場合の注意点は以下の通り。

 

 

1.登録にはどうでもいいフリーメールを使う。

こうしたサービス登録した場合、銀河の歴史が終わるその日まで君のメールアドレスには無限とも思える広告メールが届くこととなるから、そうなってもよいフリーメールを使うこと。

 

2.電話番号は登録しない。

登録した場合、ネットでの見積り後60秒以内に次々と電話がかかってきては「今ここでうちに決めてください」みたいなことを言われる。

これを断るのが大変面倒くさいので、電話番号は記載せず、メールだけのやり取りとするのが良い。

だいたい「今決めてください」って、こっちが何のために業者比較をしているのかアイツらはまるで分かっていない(次電話きたら実際にそう言おうとと思う)。

 

3.独身なら、大手は止めたほうが良い。

大手の業者(アリさんとかサカイ)は、「高かろう良かろう」をモットーにしていて(褒め言葉)、料金が高い分、迅速で、かつ、品物を絶対に傷つけないような対応をしてくれる。近所で、サカイ引っ越しセンターがマンション中に緩衝マットを貼り付けて、見事な手さばきでアンティーク家具を運び出している様子を見たことがあるだろう。

 

基本、俺たち独身の若者にあそこまでのサービスは必要無い。本棚から本の2~3冊無くなっても気がつきゃしないからだ。

 

格安な業者につきまとうのが「何か紛失するかも」「傷つけられるかも」という不安だが、相手もプロなので、これまでの経験でも「ほんとにこんな価格でやってくれるのか?」と思った業者であっても、品質面で何かの問題が生じたことはない(もちろん本も無くなっていない)。

 

そのため、たかだか単身の引っ越しであれば、誰もが知っている業者ではなく、地域密着でやっているような零細業者にお願いしたほうが遥かにお得だというのが俺の経験だ。

 

4.段ボールは業者に言ってもらう。

 

この世界では基本、綺麗な段ボールはタダで手に入らない。

だから普通は業者からもらうか、スーパーなどから調達してくることとなる。

 

スーパーからもらってくるのはおすすめしない。

とりわけ、キャベツなど野菜を梱包していた段ボールは土などで汚れているし、いろんな虫の卵が付着している場合がある。せっかく綺麗なお家に引っ越してきた、その初日から、部屋を虫の卵だらけにするのは切ないものがある。

どうしても他に調達する先がなければ、ドラッグストアなど、生物を取り扱っていないところの清潔な段ボールをもらってこよう。

 

また、引っ越し業者の中には、契約にあわせて段ボールを無料でくれるところがある。

そうしたところを引っ越し業者選びの基準にするのは良いことだし、また、大手の業者によっては見積もりをするだけでも段ボールを数枚プレゼントしてくれるところもある。

これも非常にありがたい。

 

でも、段ボールをもらうためだけに大手業者の営業担当に時間を使わせて、なんか卑しい気がする・・・。

こうした罪の意識にさいなまれる聖人も、(このブログの読者にいるとは思えないが)世間にはいるかもしれない。

 

でも、大丈夫だ。そういう時はこう考えよう。

「この業者がもし【この引っ越しだったら980円でいいですよ^^ お客さん、いい人そうですし】とか言ってくれたらそこに決めたのに残念だなあ。」これだ。

要するに「見積もってもらった結果、価格が条件と合わなかった。でも貰えるものは貰っておく」だけの話だから何も恥じる必要はないぞ。

 

 

5.絶対値引きしてね。

 

ここまでで君は、フリーアドレスで一括見積もりサイトに登録し、いろんな業者の見積もりを集めたうえ、大手業者からは段ボールをありがたく頂戴した。

で、この後は、実際に一番安く見積り金額を出してきた業者と連絡をとり、実際に部屋を見てもらったうえで詳細な見積もりをしてもらうんだけど・・・。

 

ここで業者が出してくる価格は、基本的に値下げ前提の価格なので、その金額で契約してはならない。経験上、交渉でその半額程度になると思って良い。

 

こう言うと、「自分、口ベタなんで交渉とかちょっと・・・」という人もいるだろう(と言うか、普通そう)。

でも、大丈夫。交渉といっても、基本何も言わず、ただ「グズグズする」だけでいい。この場合グズグズするとは「うーん」だの「え~~・・」だの言ったり、「すみませんちょっと犬の散歩行ってきていいですか」などと時間稼ぎをすることだ。

 

そうすると不思議なことに値段が下がっていく! 一度試してみてほしい。業者は最初に提示した金額のだいたい3分の2程度の金額を提示してくるだろう。

というか最初に出した見積もりは一体何だったんだって感じだ。

一度あったのは、業者が「こうして夜分に見積もりにお伺いしておりまして、お騒がせしているお詫びとして値下げします」とかいうもの。

こんな夜分に呼んだのは俺なんだがな。このように、とりあえず何かしらの言い訳をして値下げをしてくる。

 

ここで契約してもいいけれど、さらにグズグズグズグズしていると(すみませんお腹すいたのでカップラーメン食べてもいいですか、など)、業者は決まって「ちょっとエリアマネージャーと相談します」「本社と掛け合います」などという電話をしはじめる。これは賭けても良い。

そして、その電話は天気予報の音声サービスにつながっている。

つまりひとりで茶番をおっ始める。

 

こうした茶番は引越し業者だけに限らないが、彼らは上司と電話をしてきますとか言いつつ姿を消しては、お手洗いに行くかテレビをたっぷり見て戻ってきているだけだ。誰とも何も話しちゃいない。要するに値段を下げる言い訳を作っているんだ。

 

で、そうして出してきた価格は、だいたい最初に提示した金額の50%~60%台であることが多い。これが彼らなりの最終提示価格となる。ここで契約するのが良い。

 

彼らとしても、わざわざ本社と相談した(とか嘘ついてまで)出した金額から更に下げてしまうと、今度はどこまででも下げざるを得なくなってしまうから、これ以上は下げないつもりの金額を出している(ごく稀にもっと下がるのもあるけれど)。

この金額から更に値切ろうとするのは無駄な努力だから止めておいて、ここでの価格が高ければ「ほかも見て決めます」といってさっさとお引取り願おう。他にも業者はいるんだからな。 

 

なお、契約交渉中に「その金額で、段ボールつけてもらえませんか」とか言うとあっさりサービスしてくれたりする。図々しいようだが段ボールの入手に苦労していたら試してみてほしい。

次回予告

 

今回で、引っ越しをする時期と、業者の決め方について説明をした。

次は、賃貸物件の決め方、契約するにあたっての注意事項について書いていきたい。