知ってる?というか、その名のとおり、日本国内において違法な向精神薬(大麻、覚醒剤、何となく小腹が減ってきた夜中に食うタケノコの里など)を取り締っている、厚生労働省所管の組織である。
その絶大なる国家権力に、俺は言いたい。
アンパンマンパンも取り締まってくれ!!!!!!まじでたのむ!!!
独身の読者に教えてさしあげると、全国のスーパーの菓子パンコーナーには必ず「アンパンマン」の包装につつまれた甘いパンが売られている。
「アンパンマン」パンとは言うが、パッケージがアンパンマンなだけで、中身は普通のスティックパンだ。
俺の知る限り、アンパンマンにこんな細長いヤツは出てこない。
で、これを赤ちゃんに与えると、めちゃくちゃ美味そうに食う。恐らく赤ちゃんが食べるもので宇宙最高に美味いのだと思う。
「おまえ、なんでこんな旨いもの隠して、味気ない離乳食だのこれまで食わせていたんだ?」などと突然日本語で喋りだしたくらいだ。
このパンを、たまのオヤツ程度に食べてくれるんだったらこの話はおしまいだ。だからまだおしまいにならない。
もうな、1回でもアンパンマンパンを与えたが最後、これが大麻、覚醒剤ならびにアヘンなどの向精神薬かってくらいほとんど中毒になって食いまくる! 食い続ける!!
食い続けるだけならまだしも、他のものを一切食べなくなるのが問題だ。
アンパンマンパンだけで小さな腹がいっぱいになるのだから当然だ。
俺たちが毎日、塩分や糖分を抑え、栄養のバランスに配慮した幼児食を手間ヒマかけて作ってやっても、手で払い除ける動作とともに「いや、あるだろ??? アレがよお!!」だからな。
1歳半の、まだ「マンマ」しか言葉を知らないはずの赤ちゃんがはっきりこのように言うから腰が抜けるくらいびっくりする。俺にしか聞こえていないかもしれないが。
俺は麻薬取締官に言いたい。
あのパンを速やかに全国のスーパーから締め出してほしい。
ここで「いや、お前が買わなきゃいいんじゃね」と思うあなたは、まだ覚醒剤等の恐ろしさを知らない。
なぜなら、麻薬中毒者にとっての渋谷の路地裏のごとく、赤ん坊どもはスーパーに1歩足を踏み入れただけで「ここはアンパンマンパンだ」ってわかるんだよな。いや、ここはアンパンマンパンではないんだが。
少しでもパン売り場付近を通りかかろうものなら、ヤクを目の前にした中毒患者のように喚き散らし、これを買え、絶対買えとワチャワチャ言い始める。これがうるさいけど可愛い。
まあ、多少食べさせて、少しの間だけでも静かにしているのならと思って買う。以後、それしか食わなくなる。行政の手助けが必要だ。
といった話を、今や俺と同様に既婚・子持ちとなった同僚にしたところ「お前それ赤ちゃんに舐められてるぞ? これからも喚き散らせば何でも与えるのか? 心を鬼にして、1週間くらいあげなかったらパンの存在も忘れるよ」などと厳しい言い方をされたから、かなり固めのフランスパンで殴打して黙らせた。
が、たしかに同僚が言うことにも一理あると思ったから、その日を境に、多少喚こうが不満を言おうが、アンパンマンパンを封印するようにした。
すると、同僚の言うとおり、当初は不満をぶつぶつ言っていたが、だんだんと元の食生活に戻っていった。麻薬中毒者のリハビリ生活とまったく同じである。
あのパン、おいそれと与えていいものじゃないな。ダメ、ぜったい(に近い)。
そう思いつつ、アンパンマンを戸棚にしまってから、数日経過したある日。
部屋に赤ちゃんを残し、俺がせっせと洗濯物を取り込んでいる時、「なんか、静かだな・・・」と感じた。
これも独身者に解説するが、この「なんか静かだな」というのは、ほぼ間違いなく、何か良くないことを赤ちゃんがせっせとしている時のキーワードだと思ってもらいたい。
多少の不安を抱えつつ、部屋に戻ってきた俺の眼の前に飛び込んできた光景がこれだ。
アンパンマンパンを窃盗した疑いがかけられている容疑者の写真である。
既に飲み込めないほどのパンを口に頬張りながら、両手でパンの二刀流をするという欲深さがやばい。
俺は岸田政権に陳情したい。アンパンマンパンを一刻も早く法規制してくれ!!