中小企業診断士の受験コースに申し込んだ。

 

以前の更新で、会社で募集していた中小企業診断士」受験コースに申し込んだことを述べた。

 

で、本日、受験コースを主催している予備校からテキストと問題集が宅急便で届いた。

それがこれ。

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全7科目、テキスト及び問題集合計25冊!
更に演習ノートやら、「学習の進め方」などのパンフレットもあり、最初は区役所から米でも送られてきたんかってくらいに思った。

 

これは俺の想像だけど、中小企業診断士のように、多くの試験科目が存在し、分量が多い試験だと、全体のうち3割くらいは、まずその分量を見て心が折れて受験を諦める。

俺は勉強が趣味で、試験科目が多いことにワクワクする異常者だから良いものの、通常の神経を持っていたら少なからずうんざりするだろう。このテキストの量を見て「や~めた」って人がかなりいると思われる。

 

で、そこで生き残った勇者のうち5割程度の人も、分厚いテキストの熟読、勉強ノートの作成からはじめ、途中で飽きるか、試験までの時間切れで受験を諦めてしまい、最終的に試験まできちんとたどり着く人自体ごくわずかだと想像する。

つまり、ちゃんと試験日に試験を受けている人はそれだけで相当偉い。

 

 

なぜ、こんなことになるのか。

それは中小企業診断士の試験が特別難しいからではなくて、分量が多い試験に対する取り組み方が分かっていないからだ。*1

 

世の中の受験生だけが分かっていないのではなく、予備校も分かっていない。
例えば、今回送られてきた冊子に含まれている「受講ガイド」に勉強の進め方が記載されているのだが、特に次のページに注目してもらいたい。

テキスト、問題集をどのように活用するべきかを図示したものだ。

 

内容的にはどこでも見るようなガイドだが、このとおりに勉強すると落ちる。

理由は次のとおり。

 

 

・テキスト通読は「落ちたければどうぞ」。

 

勉強を始めるにあたり、まずは「勉強ガイド」を読んで、試験科目や範囲といった全体像を掴む。これは必須で、絶対にやっておきたい。

が、問題は次で、「テキストで知識をインプット」から「問題集で知識をアウトプット」という流れである。

このブログの読者であれば、俺が過去に2万回くらいこの方法を否定しているから、既におなじみだろう。

分量の多い試験だと、テキストだって冊数が多くなる。中小企業診断士試験では、テキストだけで10冊ある。
一般的に、1冊のテキストを読み始めて、その最後の方では、早速最初の方の話なんか忘れかかっているものだ。
では、1冊目から10冊目まで読み終えたとして、1冊目の内容がどこまで頭に残っているのだろうか。1冊目を読み終えたあと、2冊目から10冊目まで読み終えるまで、1冊目の知識を使うことはない。
使わない知識は即日忘れていく。これは極めて重要なことだ。*2

 

結果、長い時間をかけてテキストを全部読み終えたものの、頭に残っている記憶はごくわずかで、問題集もほとんど解けず、そこでまた結局テキストを開く・・・。

これでは最初にテキストを通読することにかけた時間の全てが無駄で、ニンテンドーSwitchで遊んでいたほうがまだマシだった。

このように、「テキストを通しで読む」」というのは、数ある勉強法の中でも最も非効率であり、正直「試験に落ちたければどうぞ」という方法だと思ってもらってもいいくらいだ。(さらに言えば、テキストだけでなく、学習用の講義動画もあるようで、これ十数時間分に及ぶ。)

 

「テキストを通しで読む」ことの非効率は「最初に読んだ方を忘れてしまう」ことだけではない。
どこが試験に出るところなのか、特に重要なのはどこなのか、そういうメリハリがつけられないことも問題なのだ。


実際に、テキストのうち、試験に出るポイントはほとんど決まっていて、そこだけ繰り返し出題される。
そういう「繰り返し出る」部分だけを読むのが最高効率なのは分かると思う。

が、「テキストを通しで読む」と、そういう重要な部分のほか、過去に一度も試験で問われたことのない、さして重要ではない部分も一緒に読んでしまうことになる。
その結果、まず、時間の無駄が発生する。

次に、本当は覚えなきゃいけない重要な部分に使うべき記憶力を、ほかのどうでもいい部分の記憶にまで使ってしまう。これが途方も無い非効率だ。

 

・模擬試験解けなかったらどうするの?


さらに、先程画像で見せたページには致命的とも言える勉強法の誤りが記載されていて、特にこれだけは絶対にやってはいけないというものがある。
それは、「試験直前に模擬試験に挑戦して、実力を試しましょう」というものだ。

 

模擬試験というのは、予備校などのプロが、本番の試験を分析して作った本試験の予想問題であって、極めて重要な学習ツールだ。

さて、その学習ツールを、試験の直前(たとえば一週間前)まで大切に保管しておいて、実力だめしのつもりでいざ解いてみて「全く出来なかった」としたら、どうするつもりなのだろうか?

 

本番の予想問題がまったく解けない、これはつまり、勉強の方法そのものが誤っていたことになる。
が、模擬試験を本番直前まで温存していた場合、その根本的な誤りに気がつくのは、試験まで残り1週間の時点なのだ!!! もはや勉強をやり直す時間も気力も残っていないだろう。

どうしてそんな「縛りプレイ」を自らに課すのだろうか、俺にはわからん。*3
以上の通り、この学習ガイドどおりには絶対に学習してはならない。

 

・最初に模擬試験をやる。


そんじゃ、結局、どのように勉強を進めるべきなのだろうか。
皆さんがお気づきのとおり、この学習ガイドの「逆」に進めれば良い。

まず模擬試験をやる。これ以外にない
このことで、「自分が試験日に身に着けておかなければならない学力」がまずわかる。
でも当然、何もインプットしていない状態ではちんぷんかんぷんだろうから、ここで始めてテキストを開く。

そしてテキストを参考にしながら問題を解いてみる。この際、問題を解くあたって参考にした箇所だけ、マーカなどで色を塗っておくといいだろう。

 

そのように、模擬試験を1回分回して見るだけで、
 ・実際にはどんなレベルの問題が出るのか。
 ・その問題を解くために、テキストのどの辺を読めばいいのか。
 ・そのためにどれくらい時間が必要か。
の見通しが立つ。
ここまできて始めて学習計画が立てられるのだ!!!!!

 

ところが、今回受講した予備校のサービスによると「模擬試験は、本試験の1か月前を目処に送付します」とのこと。使えねえ!


が、それもそうで、スピード合格と言いつつ、予備校にとってはさっさと合格されてしまってはお金にならない。

あいつら(予備校)は、受験生に「手厚く勉強させてもらっている感」を味わってもらいつつ、実際の試験ではしっかり落ちてもらうのが最もビジネスにつながるのだ。
そう考えると、資格試験でも受験でも、予備校や塾にしっかり通っているから大丈夫、ということは全く無いのだ。勉強は自分でやらないとまったく意味がない。


・テキスト、問題集の活用方法

では何で青山はこんな受験コースに応募したのか。

大きな理由としては、テキスト、問題集、模擬試験が欲しかったというのがある。


前述したように、全部で7科目あると、そのための勉強資材を揃えるだけでも結構大変だ。
うちの会社の場合、会社を通じて申し込んだことで団体割が効いたからという個人的な事情を踏まえた話となるが、学習に必要な道具をかなり安く揃えられたのはありがたい。

また、どうしても、テキストを読んだり、ウェブで調べても、なかなか理解できない問題が出てきた場合に、大抵の予備校の運営している受験コースでは、プロの講師に対する「質問」ができるようになっている。

これが予備校の持っている独学では得られない最大の利点であり、いざという時、独学に比べたら心強い。

が、ぶっちゃけて言うと、ほとんどの資格試験では、このように「どうしても理解できない問題」は諦めてしまっても全く問題なく合格点が取れる。むしろ満点を取るような勉強なんかしなくていい。
質問サービスを利用したり、他の専門書に手を出してまで追求するのは、その問題が極めて重要であり、それが理解できないと、他の多くの問題にも手も足も出ない状況が生じた場合だけにしよう。そんな場合があるか知らないけど。

 

そんなこんなで揃えたテキスト、問題集のうち、まずは問題集から広げる。
当然、わからない。
わからないので、ここでテキストを開き、その問題で問われている箇所が記載されている部分だけを見る。
そこに記載されている知識で問題が解けることが確認できたら、テキストの該当箇所を傾向ペンでマークする。

これを繰り返して、テキストに補助してもらいながら問題集を1冊仕上げる。
次に、今度は、テキストを見ずに、同じ問題集をやってみる。
覚えていて解けるものもあれば、忘れてしまって解けないものもあるだろう。解けないものは、またテキストや答えを見ながら解く。
これを繰り返し、全て「覚えていて解ける」状態に変えていく。これが勉強の進め方だ。

これを繰り返していくと、テキストは、問題で出るところだけがマークされた状態になってくるので、電車の中などでテキストを通しで読むような場合、そこだけを読むようにする。

 


資格試験の勉強をする「目的」を常に意識しよう。
それは、実際の試験で合格点を取ること、ただそれだけだ。
だらだらテキストを眺めて、そのそばから忘れてしまうような時間の無駄はもうやめような。

というわけで、来年8月の試験を目指して頑張る・・・のだが、まずは来月にある「システム監査技術者」の方を優先する。次のことは、それに無事合格してからだ!
みんなで頑張ろう。

ちなみに、今回申し込んだ受験コースでは、無数のテキスト、問題集のほかに、こんなものまで入っていた!!

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こんな、絶体絶命の日露戦争みたいな覚悟でやらなきゃいかんのか?!


ひとしきり笑ったあとで、ギャン泣きしている赤ちゃんにも持たせてみた。かわいい。

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*1:おんなじ話をもう、このブログでは12回くらいしているから「またかよ」と思ってもらいたい。

*2:これをエビングハウス忘却曲線という。

*3:このテキストを発行している予備校からしたら、また来年まで通ってくれるからとても嬉しいだろうね