最近受けている資格試験と、勉強法について

 

 

 

転職しなくても資格を取っておいたほうが人事異動で有利だよ、という話。

 

先日、「基本情報技術者」の試験を受けた。

この前の春には「情報セキュリティマネジメント」の資格も取得した。

 

これらはいずれもIT系エンジニアの基礎とされている資格で、

・世間的な認知度もそれなりにある

一方、

・ただ過去問のみを心の無い機械のように1~2ヶ月ほど繰り返すだけで取得でき、

・実生活にもそれなりに役に立つ

というとてもお得な資格なので、皆さんにもおすすめしたい。

 

ツイッターのフォロワーたちも何人か同種の(より高度な)試験を受けているようだったが、そのうち半分くらいはこの試験の前に実施される「早起き試験」にしくじり、当日は試験問題ではなく自宅の天井を眺めて過ごしていたようだった。

 

もっとも、 これらの資格を取ったとはいえ、俺は別にIT系への転職を考えているわけじゃなく、もっぱらまだまだ紙文化の残る弊社の中で活用しようとしている。

そのような旧文化の残る遺跡のような会社では、IT系などの会社では常識のようなちょっとしたパソコンの知識があるというだけで一目置かれるというもので、人事異動の際に選択肢が増えて有利になるのだ。 

 

本当のエンジニアからすれば「基本情報技術者」くらいでパソコンに詳しい人か(笑)と思われるのでネットなどでは威張らないほうが賢明だけど、世間の平均的なパソコンの知識というのは本当にどうしょうもないので、会社では大いにアピールして良いと思う。

先日も、弊社でプリンタを入れ替えた途端、「新たなプリンタをパソコンで使うには、ドライバをインストールする必要があること」や、「そのドライバをどうやってインストールするのか」がみんなわからず、業務が大規模に停止したことがある。 

そんな古代ローマ文明みたいな状況で、少しでも◎◎の知識がありますよということを、資格というかたちで客観的に示すことができれば、その他大勢の社員の中からいくらか色がつくというもので、そうした情報は人事異動にモロに関わってくる。弊社でいえば、IT系の知識はそれなりに重要性のあるデスクに行こうと思えば行けるパスポートのような役割を果たしている(とりわけ、セキュリティ関係)。

 

このように、資格といえば「転職」と想像しがちだけど、社内での自分の位置づけや、今後の方向性をアピールするためにも重要なものになるし、これまで俺もそうしてきた。

行きたい部署があったら、資格を取る!! これだけで、少なくともただ願望だけで「◎◎部署に行きたい」と希望を出している大勢の人たちよりは有利になる。

 

というのも、人事異動について、会社は「適材適所」なんかじゃなく、ただ「何となく」決めているに過ぎない。これは自分の10年以上に及ぶ社会生活を踏まえて、断言する。

俺の経験などを踏まえずとも、そもそも、無数にいる社員一人ひとりについて「この子はこれまでこんな仕事をしてきて、こんな特技があり、しかもお婆ちゃん思いの良い子だから、この部署!」なんてことをいちいち考えることは物理的に不可能だということは容易にわかる。

弊社でも、サイコロ振って決めたとしか思えないような人事異動が毎年乱発していて、40過ぎで責任者となったにも関わらず、実際にはその仕事を初体験するみたいな地獄を味わう人すらいる。

俺はそんな地獄は、味わいたくない!!

 

そのためには、「私はこういう方向で仕事していきたいと思っているんです」というアピールを、自分の履歴書上のどこかには書いておかないといけないと思う。それが資格というものだ。資格は、自己実現のための武器になるほか、やりたくないことをやらないで済む防具のような役割もある、と俺は思っている。前述したように、俺の場合、これまで経理や金融系の(要するに会社の中でデスクワークができる仕事の)資格を中心に取得してきたけれど、今後を見据えると、弊社の中でもやっぱりIT系が重用されるような雰囲気が非常に強いので、今般、IT系の資格取得に励んでいるという次第。

 

自分が数年は過ごすだろう仕事場を、人事部の「何となく」に任せるのは、自分の人生設計の上であまりに心細い。そういう意味で、すでに安定して働いている皆さんにも資格の取得をおすすめしたい。

 

 

資格試験をするならまず過去問と配点を見ましょう、という話。

 

能書きはこれくらいで、これから資格試験を頑張ろうと言う人達のため、以下では効率的だと思う勉強法を書いていこうと思う。 

  

冒頭で「基本情報技術者試験は過去問の繰り返しで良い」と書いたけれど、これはどんな試験にも共通して言えることで、ほとんど全ての試験勉強は、

 

1.過去問を買う

2.それを繰り返す

 

基本的に、この他にやることは無い。

 

簿記だろうがIT系だろうが、大学受験だろうが司法試験だろうが医師国家試験だろうが同じことで、過去問をやる。そして繰り返す。これが最も大事だ。

俺が昨年取得した証券アナリストについても完全にこの方法のみで取得した。それだけ過去問というのは資格試験勉強の基本だと言える。

 

ところが、世の中には過去問を「最後までとっておく」という人たちが多すぎる。

「直前の力試し」などと言って過去問をやらずにおいたとして、いざ直前期に解いてみて全くできなかったらどうするつもりなんだろうか。俺にはわからない。そもそも、過去問を見ずに、自分が何を勉強すべきかがどうしてわかるんだろうか。

 

こう言うと「市販のテキストに書いてあることが、だいたい試験でも出るんじゃないの?」と思うかもしれない。

それはそうなんだが、半分間違っている。

 

以前もどこかで言ったけれど、テキストはとにかく「試験に出ることだったら何でも書く」ものだ。というのも、テキストに書いてないことが試験に出ると出版社が叩かれるので、テキストはとにかく10年間で1度でも出た問題だとか、確かに試験には出るんだけれど配点が低かったりするような問題についても、とても丁寧にページを割いて説明しているものだからだ。

 

そういう細かい論点や、10年に1度出たような問題を勉強する価値はゼロだ。

そのことを、「簿記3級」を例に挙げつつ以下で説明する。

 

「簿記3級」はそれなりに実用的だし、会社でも重用されるとても有用な資格試験で、周囲でも受験している人が多い。 

で、簿記3級の合格点は70点であり、これは、精算表(30点)、残高試算表(30点)、仕訳け(20点)ができれば合格できる点数だということがわかる。

そのうえで過去問を見ると、精算表も残高試算表もほとんど同じような問題で、そのどちらも問題を解くうえでは「決算整理仕訳」が分からないことには手も足も出ないことがわかる。そして、仕訳けはそれ自体で別に単独で一つの大問となっている。

ということは、簿記3級というのは「とにかくひたすら仕訳を覚えまくるだけ」の試験だということがわかってくる。

 

このことから、簿記3級の最も効率的な勉強法は以下のとおりだ。

・各年度の大問1の仕訳けをひたすら覚える。

・大問3「残高試算表」の整理仕訳けを覚える。

・大問5「精算表」の整理仕訳けを覚える。

(これらが終わったら)

大問3,5それぞれで表に記載するルールを覚えてやってみる。

これだけで受かる。

 

 ところが簿記3級のテキストを見ると、実際の試験では出題されるものの、ほとんど配点がないような「補助簿」だとか「伝票」だとかの説明も、かなり細かく記載されている。 これらは、仕訳けや精算表の記入に比べるとやや特殊で、とっつきづらく、配点もほとんど無いというまさに「労多くして功少なし」、やるだけ無駄な罠の問題だとされている。

少なくとも、精算表が全問正解できるレベルになるまでこんな余計な勉強はしなくてもいいのだが、過去問を見ずにテキストだけを見ていると、全てが同じように重要だと思えてきて、補助簿や伝票などどうでもいい論点も一生懸命勉強してしまう。

これがよくない。

 

最近、電車の中で、「商品有高帳」などの超どうでもいい補助簿を必死に勉強している簿記受験生を見かけた。そんな問題を全部解いたとしてもたった10点にしかならないのに、彼もまた市販のテキストや問題集のみを見て勉強しているうちの一人なのだろう。

彼のように、多くの簿記3級受験生は、伝票や補助簿などというどうでもいい問題をしっかり勉強して、そして、実際の試験では最も重要な精算表でかんたんな計算間違いをする。簿記3級で精算表が解けなければ結果は当然不合格だ。

 

なぜこんなことになるのか?

明らかに、重要な論点にかけるべき時間を他のどうでもいい勉強に使ってしまっているのが原因だ。

そして更にその原因は、過去問を見ていない、配点を知らない、これに尽きると思う。

読者にはそういう可哀想な受験生になってほしくないので、まずは何でも良いので過去問を買って、実際の試験問題というものを自分の目で確認してほしいと思う。

そして、限られた時間の中、何に力をいれて勉強するべきかを考えてもらいたい。これは簿記だけに限った話でなく、全ての試験勉強で言えることだ。

 

まとめよう、俺たちが試験の勉強をする時にまず行うことは、

 

1.配点を抑える

2.過去問を見て、どの問題が解ければ合格するのか把握す

 

ことであって、分厚いテキストを1ページ目から読むことではない。

 

現在、資格試験の勉強をしているという人は、すぐにその試験の合格点や、配点を抑えてほしい。そして次に、実際の過去問で、その問題が出る分量などを抑える。

喉が枯れるまでこれらの大切さを主張したいと思う。

 

 

過去問を使う場合はすぐに答えを見ましょう、という話。

 

「お勉強は基本的に過去問を使いましょう」と言うと、100%言われることが「最初っから過去問なんか見たって分かるわけないだろ」という反論だが、それは全くそのとおり。でも、そういう人はまだ、過去問の使い方がわかっていない。

 

過去問は、力試しの問題集として使うものではなく、試験合格に必要な知識だけを効率的にインプットするためのテキストとして使うのが正しい。

 

これはどういうことか、次に具体的な使い方に即して説明する。

 

まず、過去問を見る。

問題文を読む。

当然意味がわからない。

 

そこで、すぐに答えを見る。そもそも解くための知識が不足している問題についてあーだのうーだの考えるのは時間の無駄だし、やる気も削がれるので、即座に答えを見る。

 

すると、答えには、なぜそれが正解なのかという解説が記載されている。

この解説をそのまま覚える。これだ。

マーカーなどを引いたり、メモを書き込んだり、とにかくこの解説を熟読する。これが資格試験の勉強のほとんど全てだ。

 

 

こうした解説は、ページ数の成約もあるので、余計なことが書かれていない。

ただ答えを最短距離で導くための方法が記載されていて、とても優秀なものが多い。そして当然、過去問の答えなのだから、過去問に出ていない解説なんかありはしない。

この「過去問の解説」こそ、無駄がない最高のテキストなのだ。

 

そしてもう一つ大切なこととして、解説を見て「ふーんそうなんだ」「そういうものなんだ」と素直に思ったあと、必ず先程の問題に戻って、さっき見た解説のとおり、自分で解いてみる。そしてきちんと正解できれば次の問題に進む。試験範囲の最後までこの繰り返しだ。こっちには答えと解説があるんだから、どんな問題だって怖くない。

 

ちなみに、答えを見て「ふーん」と思っただけ、あるいはそれをちょっとメモしただけで次のページに進む。これは絶対だめ。俺たちの頭には何も残らない。あるいは「まとめノート」なども全て無駄だ。

覚えるために必要なこと、それは「その知識を使って問題を解く」これ以外にない。

 

過去問の使い方をまとめよう。

 

1.過去問を見る(わからない)

2.すぐに答えをじっくり読む

3.その知識を使って、もう一度問題を解いてみる

 

さて、ここで、「過去問の解説も、何書いてるのか意味わかんねえ」という場合がある。これは、専門用語の多いIT系の資格などで顕著だ。ここではじめてテキストの出番となる。

過去問の解説で出てきた、良く分からない用語を調べて、その意味を確認する。

そして、その箇所をマーカーで色をつけておく。これを繰り返すと、最近になってから過去問で出題されたところだけが色付けされた有用なテキストができあがる。

テキストはこのように辞書的に活用するべきであって、1ページ目からじっくり読むものではまったくない。ましてや、テキストのまとめノートなんか絶対作らないほうが良い。

 

これは別の投稿でも述べたが、まとめノートを作っている受験生が少なからずいるようだけれど、これは、

 

・作る時間がもったいない

・作ったものを結局見ない

・テキスト見れば同じことが書いてある

 

など、様々な理由から無駄だと思う。

例外的に、本当にどうしても記憶できない、不思議と覚えられない事項について、大きな紙にでかでかとメモしたうえ、家の壁に貼り付けておくという使い方はできる。

自分で何か「まとめ」を作る場合の使いみちはそれくらいで、基本は過去問の解説を繰り返し読むだけで十分だ。

 

裏を返すと、過去問の選び方も重要になってくる。以上の理由から、解説がとにかくしっかりしているものが良いのは言うまでもないだろう。

逆に最悪なのは、答えの記号だけが「ア エ イ ウ」などと簡素に並んでいるもので、こんなものはドアストッパーにするか、床にこぼした味噌汁を拭くための紙にしか使えない。そうした劣悪なものは「1問1答」などの問題集に多いように思うが、ああいうものは本当に全てを覚えきった後、ヒマになっちゃった時の確認用に使うのが良い。

 

最近の資格試験の過去問は便利なもので、左ページに問題が、右ページに答えが載っているという体裁のものが多い。答えを確認するたびにページをめくる手間が省けるので、基本的にはこうした過去問を選ぶのが良い。

 

なお、こうした過去問を繰り返す勉強法を言うと、たまに「繰り返してたら答えを全部覚えちゃう」と心配する人がいる。大丈夫だ。「問われていることの答えを覚えること」がまさに知識を習得するということだからだ。

その問題の答えだけを機械的に覚えてしまった場合、自分の頭で考えられず、応用が効かないのでは? という心配。これは多少わからないでもない。でも、この世界のほとんどすべての問題は、既存の問題の作り直しである。筆者が受けた基本情報技術者では、問題のつくりどころか、問題文の数字自体も全部同じみたいなことがある。簿記も1級レベルとなるとそれなりに新論点(というか、公認会計士の担当式試験で出ていたような問題)が出されることもある。
が、それでも既存の論点での出題に関する問題が大半を占めるので、まずはそれを習得するところから勉強を始めるのが正しい。

 

といかそもそも、過去問をすべて覚えたうえでも解けないような本番の問題は、解く必要はない。これは重要なことで、そういう問題はみんなできないうえ、何問も出るわけではない。対策する時間と、得られる点数というコストパフォーマンスが明らかに釣り合っていないから、そういう「難問」はすべて無視したって合格できるようにできている。

 

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20代のうちにある程度資格を取りきってしまうと、30代はそれらを更に深めたり、実務について専門的にやり込んでいく時間が作れる。頑張るべきは今なので、お互い頑張りましょう。