おはようございます。
新年度も明け、次の元号である「令和」も発表されたところ、皆様いかがお過ごしでしょうか。そろそろ地球での生活にも慣れてきた頃でしょうか。
わたし今、すごくヒマです。ほんとヒマ。ヒマすぎてやばい。
ゴリラはあまりに退屈だと自分の髪の毛をむしり取るらしいですが、人類にその習性がなくて良かった。そんなこと始めたら何度ハゲてもハゲ足りないくらいヒマになっとる。
ヒマだと言っても、一般的な文系の大学生のように、一日中家の中でゴロゴロしてはネットを見て、ネットを見てはゴロゴロしているわけではありません。それは18~20歳くらいの時の僕です。今はきちんと会社に来たうえで地獄のようにヒマなのです。
まったく仕事がねえでござんす。
例えて言えば、変な宗教にハマった後のオセロ中島や、変な宗教にハマった後の能年玲奈と同じくらい仕事がねえです。干された芸能人の例示が変な宗教にハマった後の人物しか思い浮かばないのはひとえに僕の芸能知識の欠如のためです。
これをご覧になった人によっては、給料をもらう一方でこうして時間を持て余している様子を“羨ましい”と感じるかもしれません。それはヒマ業界を少し舐めています。
恐ろしくヒマだということは、それなりに忙しいことよりもずっと辛いものだということをお伝えしたい。
以下に、現在の僕のヒマな状況を記しましたので、仕事時間中にもかかわらずTwitterに入り浸る最近の僕にご理解をいただくとともに、同じようにヒマを持て余している社会人の皆様にとっても何らかの参考となれば幸いです。
1.ぼくがヒマになったわけ。
僕が現在の部署に配属されたのは去年9月のことで、これは当時新たに作られたチームでした(今から思えばこれって左遷だったのか?)。
そこは、社内的に一応「IT企画」と呼ばれるポジションで、会社にある特殊なシステムの入れ替えや、その広報活動等を任されていました。
昨年までは、専門家のお話を聞きにいったり、会社のホームページをいじくったりとそれなりにお仕事が多くあったものの、適度に頑張った結果、予定(今年6月末の納期)よりもだいぶ早い今年の3月末をもってそれらがすべて完了し、成果物も納品したうえ、会社でも公表しました。
英国スパイっぽく言えば「任務は完了した」のです。
そして、世界に静寂が訪れました。
この世からすべての仕事が無くなったのです。まるで変な宗教にハマった後の辺見マリのように。
前述したように、僕の係はある任務を行うための特別チームだったので、つまりその仕事が終わってしまえば他にやることはありません。これを揶揄して「季節労働者」とか言ったりします。冬にだけ漁をして、そこでの稼ぎを生活費にしつつ他の季節はお休みする漁師のようなものです。
で、僕ら会社員はインド洋沖でマグロを捕まえてくるような漁師ではないため、特別任務が終われば、他の人手が不足している部署に異動したり、あるいは新たな任務が命じられたりするものです。
でも、そこへいくと弊社は人事異動がかなり硬直的で、基本的にそうした「仕事がなくなっちゃったんで配置転換します」などという、中途半端な時期での異動がほとんどありません。
たとえあっても、痴漢や情報漏えいなど、何かの問題を起こした人が左遷されるような事くらいです。(これを利用して、会社の情報がたっぷり入ったパソコンを中国に持ち逃げでもすれば速やかに配置転換してもらえるとは思いますが、その異動先は東京拘置所などになると思われます。)
従って、予定より早く任務を完了してしまった社員は、その後の定期人事異動があるまでは基本的に放置されることとなるのです。
2.僕らは何を間違えたのか。
もともと僕らは、任された仕事を今年の6月末までかけて完成させる予定だったものの、それなりに効率よく頑張ったほか、プロジェクトの一部が予算の制約から不可能になったり、各方面の意見を聞きつつ縮小したりしたおかげで、当初のスケジュールを大幅に短縮して納品したのです。
システムの性能的にはそれでも問題無かったのですが、働き方としてこれが大きな間違いだった。
というのも、社会人というのは、明日でもできる仕事は、明日に残さなければならないのです。なぜなら、これが会社全体として見たときの雇用の維持というものだからです。
今から思えば、周囲の社員を見てもそうでした。
あんなもの1時間あれば出来んだろというパワーポイントの資料を、延々と1週間かけ、更には残業までして完成させる。そのことを「毎日遅くまで何やってんだ・・・」などと怪訝な目で見つつ、自分はさっさと1時間で済ませる。いやクオリティを下げれば30分で出来る。
それが愚かな間違いなのです。
なぜなら、あれこそが僕らの大切な雇用だからです。
管理者としても、何かの仕事が始まる時点で、合理的な人材の配置をおこない、十分に目標を達成できるスケジュールを作成しています。
このスケジュールが大幅に遅れることは大問題ですが、逆に早く終わってしまっても、じゃあ代わりに何させるかというのはすぐに決定できるものではないのです。そしてそもそも、会社全体としての仕事量もそんなわんこそば大食い大会のように次から次へと湧いて出てくるようなものではありません。どうでもいいけど「わんこ蕎麦」って蕎麦のカップにちっちゃいワンちゃんがたくさん入って運ばれてくるイメージあるよな。
そうした真理について何も知らず、仕事を予定よりも早く終えてしまった者に訪れるものは「無」しかありません。
自己啓発本などを読むと、決まって「100点の仕事を10時間でやるより、70点でもいいから7時間で上司にチェックしてもらいましょう」などと書かれていますが、より正確にいえば、7時間かけて70点の仕事を上司にチェックしてもらい、100点までもっていく段階で結果的にやっぱり10時間かけるのが真に正しい働き方です。
ここまでを読んで、先日から新社会人となった方々からすれば「何て意識が低いヤツなんだ」と思われそうですが、このことに気をつけないと、ジョジョの奇妙な冒険(第2部)で宿敵のカーズが無限の宇宙の中を死ねずに漂ううち、考えることをやめたような状況に追い込まれることになるのです。
例えばここで、早く仕事を終えた人から順に会社に来なくても良い(本来のスケジュールの最後まで有給休暇のプレゼント)となるならば、それは大きな魅力になるでしょう。
でも、普通、僕らの有給休暇の日数はみんな平等に決められていて、仕事の結果で増減しません。仮に早く仕事が終わったからといって1ヶ月間休暇を取ったとしても、その半年後などに大きな病気にでもなったりしたら面倒なことになります。
従って、何事もなければ会社に来なくちゃいけない。でもやるべき仕事はもう無くなった。これが社内失業というものなのです。僕らは会社の定めたスケジュールを守らなかったおかげで失業したのです。
3.ヒマな一日の流れ
ここで参考までに、ここ1ヶ月くらいの僕の典型的な(ヒマな)一日について、流れを追ってご紹介します。
・出社
最近は定時ギリギリに出社しています。
それなりに仕事がある頃は定時よりも20分~30分程度前に出社したうえ、メールのチェックや、その日に使用する資料の整理などをしていたものですが、そういう仕事が一切ないので、通勤ラッシュに揉まれながら早く出社する意味がまるでありません。
その結果、乗る電車も一本遅れ・・また一本・・・まだ遅くてもギリいけるか?? というか午前中行かなくていいんじゃね? だって仕事ないんだもの。むしろ一日家にいたって構わんわ。
でも、だからといって遅刻するのは良くない。なぜなら、周囲からすれば「あの人は普通に働いているでしょ」という認識でいるため、仕事が何もないにもかかわらず、遅れてくると周囲の評価が下るという意味不明な状態となります。こんなのこの世界で日本だけなんじゃないかと思えてきます。
・午前(株価などを見て過ごす)
Outlookで新着メールを確認しても、基本的に自分自身に宛てられたものはなく、全社員あての案内だったり、自分とは無関係な会議の議事録のようなものがほとんどです。
そうしたものを丹念に見る価値はほとんど無いので、もはやOutlookなんて開かなくてもいいのですが、僕は変なところで神経質なので「新着メール(58)」とかになっているのが許せず、結局全部開封し、1文字も読まずに閉じることを繰り返します。
そうしたメールの開封作業を終えた後は、本日の株価を確認します。
株価の動向は僕の業務にまったく関わってきません。
ですが、僕個人としては日経平均株価に連動する投資信託をいくつか持っていますので、日経平均の動向は気になるところです。
株価が上がっていれば嬉しいので、リアルタイムの株価チャートをずっとデスクトップ画面に表示させておきますが、逆に株価が下がっているとそれが目に入るだけでテンションが下るため、そういう日は二度と見ないことにしています。
自分が認識していなければ何も起こっていないという理論です。
ちなみに、この理論を信じて、むやみに売ったり買ったりせず、ほんの5年間くらい気絶したまま株価を見ないでおくとほぼ必ず儲かることが一般的に知られています(これを「気絶投資法」と呼びます)。人はちょっとした乱高下で慌てて売ったり、あるいは買ったりすることによって損をするのです。
ただし、あなたがこれを実行するときは、十分に安全な外国資産等を含んだインデックスファンドを購入するようにしてください。
とは言え、株価を見ないとなるとまた1つやることが無くなるので、インターネットを適当に開いて、普段見ているはてなブログの更新状況を確認します。
誰もなんにも書いてないのな。
みんな俺の暇つぶしのために毎日でも何かしら書いてくれって切に思う。
・お昼ごはん
社内失業の経験者ならご理解いただけると思いますが、仕事を何もしてないとお昼ご飯を食べるのがかなり辛いです。
この世界には古くから「働かざる者食うべからず」などという、全く医学・生理学的妥当性を欠く言い回しが存在しますが、マジで何もしてないとご飯食べるのが申し訳なくなってきます。仕事もしないのに何が原因でお腹すいてんのお前って感じがすごくする。
それでもお腹は減るので、仕方なくおにぎり弁当でも食べようかと思って弁当屋に行くと、その日に限っておにぎりが売り切れで、残っているのはカツ丼のみ。
なんで何もしてないのにカツ丼食ってんのコイツみたいな。お前はいったい何に勝ちたいがためにゲン担ぎしてカツ丼選んでんだみたいな。
もちろんそんな事を誰かに言われたわけではないのですが、自分の心の中でそんな声を聞きつつ、後ろめたい気持ちでカツ丼を食べるハメになります。
取調室で刑事にカツ丼食わされてる殺人犯と同じくらい後ろめたいカツ丼となります。
・午後
午前中に仕事がなければ、当然午後になっても仕事が降ってくるわけがありません。
もうネットサーフィンにも飽きました。世界には約20億件のウェブページがあるといいますが、僕はルワンダ語などで作られた理解不能なページも含めその全てに目を通しました。
そういう時はお散歩タイムです。
仕事がないので長時間席を外したとしても、誰からも何も言われません。
業務時間中に30分くらいどこかブラブラして帰ってきても何も問題ない。ますます会社に来なくていい。
この日は、会社の花壇に植えてある花がいっせいに咲き誇り、これまでとは見違えるような彩りとなっていることを発見しました。まだ肌寒い日々が続きますが、季節は既に春なのです。
このように、花々のおりなす春の足音や、心地よく吹き抜けていく新緑の風に耳を傾けてみます。
何も聞こえない。
そうした情緒というのは急に身につくものではないのです。
ところで、弊社には仕事上の参考になりそうな本を閲覧できる図書館のようなものがあって、ここへは僕のように仕事が無いヒマ人たちが集まってきます。
一種のオアシスと言ってもいい憩いの場です。
仮に僕が経営者だったら、昼間からこのオアシスにたむろしているロクでなしどもをまとめてクビにしてやればかなり効率的に人件費が抑えられるんじゃないかと思っています。
ちなみに、この図書館では、法律系の堅苦しい本もあれば、「嫌われる勇気」などのベストセラーや、自己啓発本など、いろいろ気軽に楽しめる本も揃えています。ただいくら自己啓発してもその能力を発揮する仕事がまるでないのは悲しいばかりです。
さて、お散歩や図書館めぐりも終えてくると、おおむね午後3時頃です。これだけ時間を潰してもなお終業時間まではかなりの時間を残しています。
そこで、最近始めたのが資格試験のお勉強です。
どうせ興味のない花なんか見て過ごすくらいの時間があるのなら、何かしら身につくことをした方がいい。今は仕事がなくたって、将来的に異動した後で活用するかもしれないし、こうした生活にブチ切れて転職しようとした場合にも役立つというわけです。
ただ、ここでも問題があって、ヒマとはいえあくまで業務時間中なので、大っぴらにテキストを開いたり、問題集に取り組んでいるとマズいということです。
はい、社内のヒマ人にとって何が最も苦しいかというと、仕事が無い一方で、業務時間中は「仕事をしているフリ」をし続けなければならない点です。
なぜ仕事するフリをしなければならないのか? むしろ仕事がないことをアピールして仕事を振ってもらえばいいんじゃないか?
「仕事できる系」の啓発本にはきっとそんなことが書かれているとは思いますが、実際問題、全く関係ない人に「ヒマそうだから」といって今日から任せられる仕事なんかそうありません。
とは言え、ヒマだからといって全く仕事をしている素振りがなければ、世間は「仕事がなくてかわいそう」ではなく「何あいつ」あるいは「サボってる」という評価となります。
あのな、実際はサボりではないのです。サボる仕事もないのです。
ですが、そうした事情を周囲はきっと理解しません。
「あいつサボっている」という風評は、今でもあまり心地良いものではないうえ、これから先、僕らが異動してからの評判にもついて回ります。
従って、仕事がないのに遅刻をしないように気をつけるのと同様に、仕事がないのに仕事をしている様子を見せる必要があるのです。
そのための具体的手法については、次回の更新「仕事するフリして何をする?」にて述べます。
さて、そうこうしているとようやく終業時刻を迎えます。
ここは誰よりも早く帰ります。
仕事がないくせに定時すぎてノロノロしているのは、何よりも良くない。
と言うのも、上記のように仕事をしているフリをしたところで、結局のところ周囲の人は「あいつ何やってんだ? 仕事ないのか?」的な雰囲気を感じ取っているはずです(毎日のように30分ほど仕事場を抜け出しては、草木の息吹に心を踊らせていれば当然のことです)。
こんな状況下で、更にいくらかでも残業代を稼ごうとして残っていては印象が最悪です。
仕事がないのは仕方ない。そのかわり残業も当然しないで速やかに帰る。
パソコンの電気も消して、会社のコストを減らす。
これは、仕事がない中でも僕達の立場をかろうじて確保するために最低限守るべき事項であると思います。
その結果、僕のこれまでの残業時間は(他のチームの会議に参加させられたものを除いて)ほぼゼロとなっています。
ちなみに弊社では月に1度、同じ部署で働くみんなの残業時間が一覧表となって配布されるのですが、それを見ると、何と残業代がいっさい出ないアルバイトさんよりも残業していないことが発覚しました。もはや清々しいくらいの仕事なさっぷり。むしろ今の仕事を辞めて、ここのアルバイトとして再雇用してもらったほうがいいんじゃないかってくらいです。
そして、最後の帰り際もかなり辛いものです。
周囲に「お先に失礼します」と言うと、律儀に「お疲れ様でした」と返ってきます。
いやー何も疲れてないんだなあこれが。そもそも疲れるような仕事がないんですもん。
必要であれば今からハーフマラソンくらい走れるくらい元気あるから。
そして家に帰ってからの「今日何してたんだろ感」も、かなり耐え難いものがあります。一日お疲れ様でした。いや疲れてないんだけど。
まとめ(次回予告)
今回は会社勤めをしながらも仕事が全く無くなってしまった哀れな社会人の実態についてご紹介しました。
ブラック企業のように、平日は深夜残業、土日も出社するといったような働き方はもちろん身も心も壊すものですが、このように全く仕事が無くなってしまうというのも、かなり心にダメージを与えることなのです。
こうした境遇について、既に上司には相談をしました。
皆さんも臆すること無く上司に「仕事がない」旨伝えましょう。
若い人はとくに「自分がヒマだ」ということを上司に伝えづらいようです。
でも、そうした状況を伝えず、自分はヒマで辛いうえに、その様子を上司に見られて「あいつサボってる」などと評価が下ることほど悲しいものはありません。
「ヒマです」と伝えづらければ「いま何かお手伝いできることはありませんか」などと言いましょう。一般的な大人であればそこで「あ、何か仕事あげなきゃ」と思うものです。
僕もそうしました。
その結果、
上司「いや俺も仕事なくてさっきから泣きそうなんだ」「もうお散歩にも行き疲れた」
だからな。
詰んでるんだよ。もうこれ以上ヒマになると病んで変な宗教にハマるしかない。
かなり記事が長くなってしまったので、ここまでを前半とし、次回の更新ではこうした状況ででも可能な、仕事してるフリをしながらできる時間つぶしの方法について書きたいと思います。