ミュシャ展と大エルミタージュ美術館展に行った

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ブログサボってたおかげで今となっては大昔となってしまったが,俺がまだ若かった頃に(4月8日),東京の六本木へ「ミュシャ展」と「大エルミタージュ美術館展」を見に行ったことがある。今日はその話をする。

 

1.ミュシャ

 

 いやーーーすげーーー

ちょーーーーーーー絵がでかかった!

前回,「いいかお前達,美術館行くならちゃんと作者のこと調べて,絵の時代背景を・・・」とか何とか言っていたけど,そんなこと吹き飛ぶくらい絵が超でかかった!

ほんと「絵がとにかくデカかかった」という素朴な感想を持って帰るだけでも見る価値はある。

 

まず,展示室に入った直後に飾られている(というかそびえ立っている)「現故郷のスラブ民族」という絵がまず超デカい。

 

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これは拾いものの写真だけど,実に縦6メートル,横8メートルほどある。

 

まず,この絵に腰が抜けるほど驚かされた後,進んだ先のホールに来ると,これと同程度のサイズの絵が20枚ほど並んでいる!!

すごい! そして,こんなのどうやって持ってきたんだろう!?

この絵の下に15人ほどもぐりこんで担いでチェコから持ってきたんだろうか? 「4列目右から5番目の人~! 腕下がってますよ~!」みたいな。

 

絵の鑑賞の前にそんな疑問がめっちゃ浮かび上がるくらいすごい光景だった。

 

絵の内容はというと,どれも【民族意識の高揚」という決まったテーマで,かつ,描かれているテーマや,言いたいことも割とハッキリしているから,どれも「なるほどな~」という感じで見ることが出来てよかった。

 

民族意識の高揚っていうと,だいたい戦いに勝利して,うおおお俺たちは世界最高の民族だすげえだろ,みたいな感じを思い浮かべるけれど,ミュシャの絵は,民族の自立を描くと同時に(ローマ教会に縛られず,自分達の文化と宗教の融合を目指すスラブ人をテーマにした絵が何枚もある),戦争の悲惨さを伝えた絵が同じくらいある。

 

戦争をテーマにしていても,場面は戦争が終わった後の,寂しい大地に死体がたくさん転がっている絵,みたいな。

 

他方で,とりわけ記憶に残ったのが,多くの絵で,登場人物のうちの誰かがこっちを凄い目で見つめ返しているというところ

そのことで,作品の世界と,見ている俺たちとの双方向性がそこに感じられるというか,なんかその場に自分達もいるような臨場感が感じられた。

視覚いっぱいに広がるくらい絵がデカいからなおさら。

 これから見ようって人は「お,こいつだけ俺たちのほう見てる・・・」って人を,ウォーリーを探せのごとく見つけてみてほしい。

  

ヤン・フスかっこいい

 

ヤン・フスってのはチェコの伝説的な宣教師で,ローマのカトリック教会に反発した罪で,頭まで薪を巻かれて火あぶりにされた人。

スラブ叙事詩の中で好きなのがこの「プラハベツレヘム礼拝堂でのヤン・フスの説教」 という絵。

 

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これも超巨大な絵で,各人が凄く細かく描かれているものなんだが,身を乗り出して説教するヤン・フスの熱情がすごくよく伝わってくる。

 

ちなみに,この絵の中にすっごい悪そう~~~~な顔をして「ヘッヘッヘ」みたいな笑みを浮かべる女がいて,なんだこいつ~変なの~と思っていたら,他の解説サイトによるとローマ教会のスパイなんだそうだ。

みんなも是非,「ウッヒッヒ」みたいな笑みを浮かべる悪そうな女を捜してみてほしい。

  

○混雑してはいるけれど。

 

 ところで,今回は土曜日に行ったというだけあってやっぱりかなり混雑していた。

俺は美術館の開場時刻(10時)に合わせて行ったけれど,展示室の入場で既に長い列。

去年「ダリ展」を見に行ったときの二倍くらいの列になっている。

 

でも,実際に作品を見るときに感じた,混雑によるストレスは,そのダリ展よりは全然少なかった。

というのも,とにかく絵がデカいことから,絵からかなり離れて見ないと全体像がわからない。そのため,みんな思い思いの遠方から絵を眺める感じになる。

 

そうすると,「前の人の鑑賞が終わったら,次に自分の番になる」っていうような鑑賞の列にならないんだよな。だから,人が多いワリには絵を見るのにはそんな困らない。

 

苦難の歴史をおくってきたスラブ人にスポットを当てたことと同様に,その点でも俺はミュシャはすごく偉いと思った。

 

ただ,このミュシャ展は,3月8日から6月5日まで開催されいて,俺が行った日(4月8日)はあの人出でもちょうど中だるみ(?)して入場者数が落ち着いていたのかもしれない。

これが展示終了日に近づけば近づくほど段違いの混雑になるだろうから,できれば早めに行っておいたほうがいいと思う。

 

 

○写真撮影コーナーもあったよ。

 

通常の美術館でもあんまりない,写真撮影オーケーのコーナーがあった。 

 

 

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でも,写真だとやっぱりあの天井まで届かんばかりの圧倒的なスケールが無い!

スラブ叙事詩はとにかく見て「うおおおおお!!!」って思うのが楽しいから是非足を運んでほしい。

 

ところで,俺がちらっと回りの人が掲げてるスマホの画面を見たら,70歳くらいのお婆ちゃんのカメラが自撮りモードになっていて自分の顔しか映っていないばあちゃん叙事詩を撮影していていたんだが,ちゃんと教えてやればよかった。

 

 

イラストレーターとしての作品はとにかく可愛い

 

ミュシャはもともと画家ってよりは商業用のポスターなどを手がけるイラストレーターだった。

とりわけ当時(1890年代くらい)のフランスの伝説的(と解説には書いてあった)女優であるサラ・ベルナールに大変気に入られて,舞台をテーマにしたイラストだとか,舞台装飾だとかのデザインをしていたそうだ。

 

前回の日記で紹介した「四つの花」もちゃんとあって凄く綺麗だったのと,大富豪のウミロフって人のためにミュシャが作ってあげた「ウミロフ・ミラー」という巨大な鏡にみんな驚いていた。これすげえ。

 

この芸術作品を前にたたずんだ時,僕らの誰もが思ったことだろう,うちの洗面台にもこれほしい。

 

ちなみに,スラブ叙事詩コーナー以外は小さな(普通サイズの)作品の展示なので,いつもの美術館のようなあの行列ができていたから,混雑時は結構時間かかるかもしれない。

 

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イラストレーター時代の作品は華やかでおみやげに丁度よかったんで買った。

  

 

2.六本木のランチ「イルフィーゴ

 

お昼ごはんは六本木のちょっと入り組んだ街中にある隠れ家的なイタリアン「イルフィーゴ」という店で食べた。

隠れ家的なんとか,って紹介よく見るけど隠れ家ってなんだろな。

俺たちはそんなに誰かから逃げ回っているんだろうか。

 

それはさておき,土日限定コースは1人前2300円ほどするけれど,前菜ビュッフェ・メインディッシュ・サラダ・デザート・紅茶(エスプレッソ)までついてくるから大満足。 俺は結構ここがお気に入りで,六本木に行くとなったらここに来ることが多い。

 

メインディッシュのパスタは,麺のタイプを4種類くらい紹介してくれてどれか選んで食べる。また,サラダのドレッシングのブレンドも,自分で指定してその場で作ってくれるというサービスがあるとか,遊べる要素が大いにある。

 

その中でも俺が一番おすすめしたいこの店の特徴は,ワリと店長?っぽい店員さんがどこからどう見ても歌手の槇原敬之ソックリ!!!!!だということだ。

料理はもちろんめちゃくちゃ美味しいが(特にデザートで食べたシフォンケーキは人生で一番だった),この店員さんとお話するだけでも行く価値がある。

だってお前たち槇原敬之に会ったことあるか? 俺はある。

って翌日から学校で言えるからな。

(ちなみに土日にくるなら予約したほうが良い)

 

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※ 何種類かのパスタを選べる。このときはタリアテッレを食べた。

 

【イル・フィーゴ・インゴルド】

https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13104779/

 

営業日:月~土(日曜休み)

        ランチ 11:30~15:30

        ディナー18:00~24:00

住 所:東京都港区六本木7-19-1

TEL:050-5872-5493

  

3.大エルミタージュ美術館

 

 そのまま六本木ヒルズの森タワー美術館までいって,この大エルミタージュ美術館展を覗いてきた。

エルミタージュ美術館ってのはロシアのロマノフ王朝ってのが隆盛を極めたときに,サンクトペテルブルクにつくった巨大な美術館のことらしくて(超wikipedia見た),今回はそのコレクションのうち,16世紀から18世紀くらいまでの絵画を選りすぐって展示するらしい。

 

個人的にミュシャ展に比べたらこっちは「ついで」感が凄かったんだが,予想以上によかった。

 

まず,やっぱり(ミュシャ展よりはずっと)空いている!

俺たちはまず,芸術というのは人でもみくちゃになりながら見るもんじゃない,自分の好きな順番で好きなだけじっくり味わうもんだと気がつかされる。

 

それから,この時代の絵はやっぱり装飾が美しくてそれだけで目を奪われる。

特に,どの絵にも共通して,お洋服の質感がすごい。これは誰もが感じるところだろうが,サテンやシルクといった滑らかな肌触りを,絵でこんなにも表現できるんだな~と思った。この時代の絵はそういうルールがあるのか,まず背景はみんな薄暗い,その中でスポットライトのようにモチーフが照らされていて,そんで服がキラキラ。

今から400年くらい前でもこんな写真みたいな絵が描けてたんだな~,いや,ほんと写真みたい。

 

ミュシャ展とは違って,この大エルミタージュ美術館展は全く下調べをしていなかったから,音声ガイドを借りた。

 

で,俺はそういう音声ガイドを初めて使ってみたんだが,音声ガイドっていうと全部の絵について「このモチーフは○○を表していて,右上のカメのヌイグルミは人生の儚さを・・・」みたいなことをいちいち言ってくれるのかと思った。

 

だけど,ここで聞いたのは,作者のちょっとした紹介と「この絵は面白いですね~。このカメのぬいぐるみは,この男性の趣味なのでしょうか?ふふ」みたいな感じで,あ~このくらいの感想で見ていけばいいんだな~と安心させてくれた。

また美術館に行くようなことがあれば積極的に借りてみたいと思う。

 

その中で,何となくいい絵だなと思ったのは,カルロ・ドルチの「聖チェチリア」。

音楽の聖人らしい。

意に反した結婚をさせられそうになっている,その中で悲しみの表情でチェンバロ(ピアノの前身みたいな楽器)を弾いている。

実際に見ると,悲しいのか,悟ったのか,何とも言えない表情にすごく引き込まれる作品で,とても気になった(そんでポストカードと額縁を買った)。

 

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【カルロ・ドルチ「聖チェチリア」】

 

 

それから,たくさんの鳥たちが集まって歌をうたっていて,おそらく全然ハーモニーになっていないだろうそのコンサートをフクロウが指揮する,みたいな面白い絵もあって,これもよかった。

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 フランス・スネイデルス「鳥のコンサート」】

 

 

なんというか凄い絵って,「色彩が綺麗」とか「絵筆のタッチが凄い」とかってよりは,何かコレずっと見ていられるな~って感じのものだと最近は思える。

 

なお,俺がこうして大エルミタージュ美術館展に行ったことをうけて,安倍首相も先日ここを訪れたというニュースを見たから,みんなも行ってみよう。

 

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【日本国総理大臣「安倍晋三」】

 

 

次の美術館展(?)的なものとしては,日本科学未来館で「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」とかいうのがやっているからそれに行くかも。

俺は割りとミーハーなのだ。