ところで以下のコピペはツイッターのリツイートで見かけたもで、読者のうちにも見たことがある人が多いかと思う。
何かのアイディアを出しやすくするための手法の一つだ。
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- みんなでランチする店を決めようとしているが、誰もアイディアを出さない。
- そこで「じゃあマクドナルドにしよう」と言う。
- そうすると「え?! マクドナルド行くくらいなら○○のほうがマシ」といったように、マクドナルドよりマシなアイディアがいろいろ出るようになる。
- そのうち、みんなが満足するランチお店が決まる。
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このように、アイディアが出ない状況では、とりあえず「それだけはナシっしょ」的な案をまず提案することで、「それよりはマシ」という反発のようなアイディアがどんどん出てきて、最終的にみんなが許容する選択肢に到達できるようになる。
こうしたものを「マクドナルド法」と呼ぶ。マクドナルドにしてみりゃこれ以上ないくらい失礼な話だ。
で、この方法は日常生活から仕事(企画書の作成など)でもそれなりに活用できることが知られている。
たとえば、『地元の商店街や役所と協力した、地域アピールのための物産イベント』を開くとする。
その場合、まずは、
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【企画書・・・・ 】
目的:
日時:
方法:
特別ゲスト:
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のような、ごく簡単な様式を作りはするものの(それもしばしば前代の使い回しだが)、この後に延々と悩むことになる。
ここで、一番よくないのは空欄のまま悩むことだ。空欄は何も生み出しはしない。
そうではなく、ここがマクドナルド法を活用するポイントだ。
とりあえず「考えうる限り最悪なもの」を入れてみてから、「いやこれはさすがに嫌だろ」などと、ちょっとずつマシなものに改良しつづけることで、最終的にはそれなりのものに仕上がっている、というのがマクドナルド法から得られる示唆であった。何も思い浮かばない時、まずはおふざけでいいんだ。
その考えに基づき作成したデタラメの企画書が以下のようなものだ。
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【企画書・・・各市対抗ミカンぶつけ大会】
目的:○○県名産品(ミカン)の出来栄えを競い、最強の市町村を決定する。
日時:11月○日 午前4時から(荒天決行)
方法:①:各市町村の名産品(ミカン)を用意する。
②:台座の上ではりつけとなった市長に向かって全力で投げつける。
③:一番先に市長の意識を失わせたミカンを生産した市町村が優勝とする。
特別ゲスト:大谷翔平選手(出るか165km/h)
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まずはこのような実現が困難っぽい企画書を作っておいて、そこから「うーん、でもここはムリかなあ」という部分から修正していく。
「集合時間ちょっと早すぎん?」「大谷は来てくれるかな?」など。
このようにすると良い理由がいくつもある。
まず、まさにマクドナルド法の要点と言えることだが、【「作る」から「直す」に変わることでアイディアを出すハードルが低くなる】。
ツイッターでも、自分ではろくに呟かないのに、他人の誤字の訂正や、ツッコミばかりやたらしている者がよくいるが(怒)、それは、1から何かを作る労力よりも、何かを修正する労力のほうがずっと少ないし、やりやすいためだ。
そこで、まずその「1」をデタラメでもいいから作っておいて、後はやりやすい修正の積み重ねを行うようにすると楽にゴールまで行ける。
それから、「とりあえず出来上がる(?)ので心理的に楽になる」のも見逃せないメリットだ。
空欄のままだととにかく「焦り」が出てきて、ただでさえ浮かばないアイディアがさらに出づらくなる。ここで、めちゃくちゃな内容とはいえ、とりあえず書類の中身が埋まっていると、書かなきゃいけない全体のボリュームがはっきりして先が見通せるようになる。こうすると肩の荷が下りて、不思議と様々な考えや、それでも足りないものが出てくるものだ。
このように、デタラメでいいので全体をまず作ってみてから、以下のように細部の検討に入ればよろしい。
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- みかんをぶつけるのは危険だから、せいぜい各市のミカン製品(果物のほかに饅頭だとか飴だとか)を持ち寄った物産展にしよう。
- 参加型のイベントにしたいから無料で食べられるコーナーもつくろう。
- でも、ただ試食するのはつまらないから、ある市のミカンをお題を設定して「利きみかん」をやろう。景品も出せば試食してもらいやすい。
- 景品もミカン1箱とかにしたらええ。
- 時間も10時くらいからでええ。
- 大谷なんてこねーよ(ゆるキャラ借りてこよう)。
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さて、この方法を運用するうえで注意点が2つある。
1つめは、デタラメな企画書を書いている時点で、「何やら一生懸命頑張ってるな」と勘違いした上司が「途中でいいから見せてみなさい^^」と言われる可能性があること。
その場でクビになることはないだろうがこれから書く書類が企画書から反省文に変わる可能性がある。
2つめは、たとえデタラメであっても「修正できる範囲の」デタラメにとどめておくことだ。
あまりにどうしようもないと、せっかく書いたのにそれらを全部消して1からやり直しという無意味なことになる。
この前、ある会議で披露するためのプレゼン資料の作成を頼まれた時、【はじめに】がどうしても書けなかったから、このマクドナルド法を試してみたのが次のような文章だ。
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【はじめに】
おっす! オラ△△株式会社の悟空! 今から○○に関するプレゼンってぇのをはじめっけどよお、オラ何だかすっげえワクワクしてきたぜ!!
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その後、このページに戻ってきたオラは無表情でこの1文全てを削除し、また0から考えることとなったのであった。