ツツジとアキコの思い出

自宅から駅まで続く道には、ツヅジが綺麗に咲いている。
今はちょうどツツジのシーズンだから、出勤途中にきれいな花が見られて嬉しい。

 

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ツツジに関して、小学生時代の思い出がひとつある。
今のように花や草木の美しさに心を奪われる繊細な感性を持っていた青山少年は、5月のある日、学校の敷地のまわりに咲いていたツツジの蜜を片っ端から吸って回っていた。


ツツジの花と茎の間には甘い蜜が詰まっていて、吸うと軽めのハチミツのようで甘い。
家の外で甘いものを食べるという行為は、まるで買い食いをしているようなものすごい背徳感があった。

 

蜜を吸うためには、もちろん花を摘むことになるから、ツツジが台無しになる。
が、当時の粗暴な青山少年は全く気にとめることもなく、ツツジが咲いていた小学校の外壁にそってツツジを摘んでは蜜を吸い、蜜を吸ってはツツジを摘み、およそ50メートルはそんなことをしながら歩いていた。
もはや巨大なハチである。

 

そんな巨大バチこと青山少年の前に、偶然同じクラスのアキコちゃんが通りかかる。
アキコちゃんは青山くんに一言だけ忠告する。「それ全部犬のおしっこかかってるよ?」

 

それ以来、青山くんがツツジを摘んで蜜を吸うことは全くなくなった。

 

それから30年近く経つが、ツツジを見るといまだにアキコちゃんとの悲しい思い出が頭をよぎる。今頃どこでどうしてるのだろうか。
突然連絡して「あのツツジってやっぱり犬のおしっこかかってたのかな?」と開口一番に聞いてみようと思う。聞かないし連絡先も知らないけど。そんで書いてから思ったけどこれ全然ゴールデンウィークの日記じゃねえな。