「給料下げます。でも、もっと働け」

例えば、次のような求人を目にした時、皆さんどう思うだろか。

 

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業務内容:法律相談

               ※有資格者(弁護士資格)歓迎

試用期間:なし

               ※即戦力となる人材を募集しています。

賃金:月給18万円~20万円

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この例は俺が作った適当なものだが、ひと目見て、「弁護士資格もった即戦力が、月給18万円で来るわけねーーーーーーーーーーだろ!!」とわかる。

が、実際、世の中にはこんなバカバカしい求人がよくあり、たびたびネットで炎上している。

 

 

「そんな凄い人材に来てほしかったら、もっと給料を出せ」という意見は、まったく当然のことだし、読者の共感も得られるのではないかと思う。

 

これをちょっと法則的に言えば、【応募してくる人材の質は、給料の額に比例する】

 

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給料を上げれば良い人材が来るだろうし、逆に給料を下げれば、良い人材は他のもっと良い給料の仕事を選ぶだろうから、ろくでもない人材しか応募してこなくなるだろう。

 

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ところが、これが「国会議員」の話になると、みんなして全く正反対の話を始めるから不思議なものだ。

 

つまり今の国会議員に関しては、

・国会議員の質を上げるべき。

 と思うだろう。俺も思う。

 

他方で、 

・今の国会議員は給料もらいすぎ。もっと給料を下げろ

 という主張はどうだろう。

こちらも「そうだそうだ」と思うのではないだろうか。

 

 

これは何故だろか? 

冒頭でみなさんに同意いただいた、「良い人材に来てほしかったら、もっと給料を出せ」という理屈は、国会議員は対象外なのだろうか。

 

でも、「国会議員」だって、給料をもらって、何かの目的のために働くという点でいえば、世の中にある仕事のひとつに過ぎない。 

従って

【応募してくる人材は、給料に比例する。】

という法則は、国会議員が相手でも、確実に適用されるのだ。

 

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ここまでの話をまとめると、「国会議員の給料を下げると、更に国会議員の質が下がる」ことにつながる。

 

そして、国会議員の質が下がると、世間の人は更に給料を下げろと言うのだろう。

すると、また国会議員の質が下がる。

これを繰り返していった先(均衡点)は、「給料0円」、「国会議員の質は世界最低」という国で、それを望むならば、国会議員の給料をもっともっと下げろと主張すれば良いと思う。

 

それは極端だとしても、少なくとも言えることは、すでに繰り返しているとおり。

応募してくる人材の質は、給料に比例する。

言い換えれば、給料を下げつつ人材の質を上げることは、他の条件が一定ならば不可能だ。

 

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冒頭の適当な求人広告のように、

「有資格者歓迎、ただし安月給」

みたいな条件で応募してくる人なんかいないだろと思うのと同じように、そんな悪い条件で国会議員なんかやってくれる人は、次第に減ってくる。

 

とりわけ、一般の会社では数千万円で雇用される優秀な人なんか、特にやりたがらないだろう。

 

裏を返すと、一流企業の役員なんかよりも、ずっと魅力的なくらいの給料を国会議員に対して支払ったら、きっと優秀な人材が国会議員になってくれると思う。

 

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とはいえ、こうした主張には必ず、

「そんな金儲け目的の議員ばっかり増やしてどうするんだ」

という反論がされそうだが、そういう人は、同時に、

「国会議員はお金のためにやるんじゃない。この国をもっと良くしたいという気持ちが大事なんだ」

みたいなことを言うのだと考えられる。

 

それは理想論として分からなくもないが、それは実際のところ、ブラック企業の経営者と全く同じ「やりがい搾取」的な発想だと思う。そんな気持ちは、悪劣な労働条件の元で、確実にしぼんでいき、いつしか「いかに楽をしながら続けていくか」が主眼になっていく。

 

だが、国会議員として良い仕事をするとうことが、多額の「給料」によってモチベーション付けられていたとしたら、その議員は引き続き良い給料をもらうためにも、国会議員として良い仕事をするだろう。

 

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国会議員に多額の給料を支払うことのメリットは他にもまだあって、汚職や、贈収賄などの事件が減る。

次のケースを考えてみよう。

 

A:今すぐ1億円もらえるが、バレれば確実に逮捕され、国会議員を辞めることになる。

B:国会議員として引き続き仕事をして、年間4,000万円のお給料をもらう。

 

この時、Bの金額(つまり、給料)が高ければ高いほど、その人はまっとうに国会議員を続けていくほうが得になるから、汚職などに手を染めること無く、国民のために真面目に働くものと考えられる。

経済学的に考えると、「給料の低さは、犯罪行為を魅力的にする」。

 

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Yahoo掲示板を見ていると、公務員については、

 

・どうやら彼らはそんなに高収入ではないようだ。

 

と気が付き始め、それと同時に

 

・公務員の質をよくするためには、労働環境や、給料をよくしないといけない(じゃないと、優秀な人材が集まらない)

 

と言う人が増えたように思う。

これは、公務員というのが彼ら(Yahoo掲示板の連中)のような労働者としての立場に近いから、

「給料下がれば質も下がる」の法則を想像しやすいからだと思われる。

 

でも、それが「国会議員」の質の話になると、途端に「仕事しろ。給料下げろ」という主張になってしまうから、不思議なものだ。

 

国会議員というのが、なんだか僕らとは全く違うモチベーションで仕事をしているスーパーマンのように感じられるのかもしれないが、彼らも労働者であることは全く変わりがなく、労働者を動機づける大きな要素が「給料」であることも同じだ。

 

もっとも、俺だって立憲○主党みたいなロクでなしどもの給料なんか、今の仕事の実績からするともっと低くても良いと思うけれど、それでも、彼らにもっとマトモな仕事をさせるためには、給料を上げるという発想をすべきなのだ。

 

 

○【成功報酬】はやめたほうがいい。

 

 

別に国会議員の給料は高くたって構わない、ただし、「成功報酬」にしたらどうかという意見も、たまに見かける。

 

つまり、前回の選挙から、今回の選挙までの間で、その人が国民のためにどれだけ貢献したかで給料を決めるという考え方だ。

 

これはハッキリ言ってやめたほうがいい。

 

理由は3つある。

 

○1つは、議員の仕事ぶりの評価は、思想によって変わること。

 

これは次の質問をすればすぐわかる。

安倍晋三の給料はいくらが適当だと思いますか?」

俺は年間1億円くらいくれてやっていいと思う。

でも、きっと皆さんは違いますよね。「0円でいい」という人さえいると思う。

これだけでも明らかなように、自分の主義や、信条などから、国会議員への評価は全く違ったものになる。

これをどのように調整して、一人の人間の給料を決めればいいのか全く分からない。

 

○2つめは、目先の仕事しかしなくなること。

 

次の選挙までに給料が決まるなら、すなわち、次の選挙までに結果が出るような目先の仕事しかしなくなる。

すぐ結果の出る仕事といえば、例えば地元に「ビンゴの殿堂」や「巨大イカのオブジェ」を作ったり、そんな(だいたいろくでもない)仕事だ。

 

でも、世の中はそんな数年で片付く仕事ばかりではないし、国会議員に求められる「質の良い仕事」は、これまで長い間複雑に絡み合った問題を解きほぐし、じっくりと制度設計して、これを解決することだ。

そして、その素晴らしい効果が現れるのは、今から10年後かもしれない。だが、その10年後に議員でなければ、その人は給料を受け取ることができないのだ。

だから、誰もそんな素晴らしい仕事なんかしないだろう。

 

 

○3つめは、国民が嫌がる(でも必要な)仕事をしなくなること。

 

増税、イヤだよな。

というか、増税が好きだって人は完全にゼロだと思う(財務省職員を除く)。

ただ、増えていく社会保障費を賄うためには、税金を多く取れるところからは取っていかなきゃいかない。

国会議員の給料を成功報酬にすると、そういう「イヤだけど必要なこと」をする国会議員が全くいなくなってしまう。

だって国民に好かれないと給料が下がるんだもの。

「私はイヤだけど、必要なことだから評価します」なんて高度な評価ができる人間って、多分全世界で1%もいないんじゃないかと思う。すくなくとも俺にはむり。

 

○まとめ

 

人材の質は、給料に比例する。

「国会議員は別」ではないと思う。

 

だから、国会議員の質を上げたければ、まず給料を上げる必要があるんだが、世間の主張を見ると「国会議員の質を上げろ」という一方で「給料を下げろ」と言っているように思えるし、この主張は不合理だ。

 

留意してもらいたいのが、俺は国会議員の給料を上げろと主張しているわけじゃない。

実際、現時点での日本の国会議員の給料は、外国に比べて低くはないようだ。

そうではなく、ここで言いたかったのは、「給料を下げつつ、同時に人材の質を上げるのは難しい」という理屈の話だ。

 

 つまり、あなたが、「もっと働け。でも給料は下げる」と言われたならどう思うだろうかということだ。

俺はもうすっかりやる気を無くしてしまうだろうと思う。

 

国会議員の給料はそういう点も考えなければいけないんじゃないかな。