おれのかんがえるさいきょうの速読法の話

『速読について。』


本屋に行けば誰でも、死ぬほど多くの「速読」に関する本が並んでいることに気がつくだろう。
こんなにあると、もはや「速読本を速読するための本」が必要なくらいだ。

少し開いてみると、やれ眼球を早く動かせだの、ページ全体を見て目に焼き付けろだの、手の感触で感じ取れだの、体感的に7割位は「超能力」みたいなことが書いてある。

 

でも、世の中の人はたいてい時間がないから、そんな超能力を身に着けてでも本を早く読みたいという願望があるのだろう。

なので、今回は俺が考える「速読法」をここに記す。
そしてその方法がベストであるとも断言する。

 

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●読まない。

 

本を最も早く読む方法。それはずばり「読まずに済ませる」。すなわちこれなり。
さしあたり、お前の冗長なブログを読まずに済ませるわという言葉が聞こえてきそうだ。
でも、これは気の利いたトンチなどではない。
ただし、「読まずに」というと語弊があるので、「なるべく読み飛ばす」とも言い換えて良い。

 

そもそも人はなぜ本を読むのかというと、その本の主張や情報を、時間をかけずに取り込みたいからだ。
他方で、本を読む時間を味わいたいという人もいるだろうが、そういう人はそもそも「速読法」などという手法自体を求めていないはずだから、ここでは対象としない。

 

そのために、具体的にはどうするのか。著者の主張だけを読んで、ほかは一切読まないことだ。
国語の授業のようだが、世の中の文章というのは
①「言いたいこと」
②「言いたいことをわかりやすいように補強する『論拠』や『例』」
で組み立てられている。

このうち①「言いたいこと」だけを拾って読む。その他の部分はいっさい読まない。
これが「読まずに済ます」の意味するところだ。

 

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●文章の最初か最後だけを読む。

 

この方法を実践するためには、①「言いたいこと」がどこに書いてあるかを効率的に見つける必要がある。
つまり「どこを読んで、どこを読まずに済ませるか」という「あたり」をつけなければいけない。

 

が、「どんな文章でもここだけを読んでください」と、中々いえない。
というのも、著者によって、どこに何が書いてあるか」にバラつきがかなりあるからだ。
「ロジカル・ライティング」を練習している人の書く文章は、各パラグラフの最初に「言いたいこと」が書いてあり、残りはその補強が続くようになっている。そういう決まりになっている。
したがって、その場合は各パラの最初だけを読めば良い。これを「パラグラフ・リーディング」という。
ところが、わりと散逸な文章を書く人(that's me)は、その逆で、あーだこーだ、そーだこーだ言って、文章の最後に「まあ、俺の言いたいこととしては・・・なんですけどねw」みたいな文章が来ることが多い。

そんなブログ多いでしょ。

 

というわけで、文章は必ずここを読めば良いという「攻略法」は無いのだが、そこで提案として、「各パラグラフの最初か最後を読む」という方法が考えられる。
まず、各パラグラフの最初だけを読む。
そこで意味が分からなければ、次は最後だけを読む。
このどちらかで良い。文章の真ん中に言いたいことを書く人は極めて珍しいから、いずれにしてもここは読まなくて良い。

 

そして、文章の最初を読んでも、あるいは最後を読んでも「何が言いたいのか」が理解ができない文章があった場合、これはそもそも読まないで良い。
全部読んでも「何が言いたいのか」が理解できない可能性が極めて高いからだ。

また、著者の文章が悪いというより、そもそも自分にその文章を読むだけの前提知識がないという場合もある。
その時も、どうせ読んだってわからないんだから読まなくて良い。もっと易しめのものから始めるべきだ。

 


●メールでもそうしよう。

 

裏を返すと、良い文章とは「あんまり読まなくても内容がわかる」ものだと思う。
モノによっては「目次だけ」を読めば十分理解できることもあるだろう。
ビジネスマンがよく「メールのタイトルだけで内容が理解できるようにしなさい」などと指導されるのも頷ける。


以上が、俺が後輩からメールで相談をもちかけられた時に、たびたび「はいそうです」などとメールの件名だけに書いて、本文になんにも書かないで済ましてる理由だ。
俺としては時短になるしとっても良い方法だ、先輩の鏡として尊敬されるべきだと思っていたんだが、この前、こんなことに気がついた。

 

最近、社員だけが見られるネット(イントラネットという)に掲示板が設置され、みんな好き勝手に書いては、好き勝手に「良いね」している。
その中で、社員から次のような書き込みがあった。

 

「メールの中で『ありがとうございます』という言葉を入れたり、感謝を示すと、メールをもらった人もやる気が出るみたいです。
 みなさんも、丁寧で、感謝を示すメールを心がけましょう!」

 

さて俺はこの投稿に対し、いったいどんなやつが良いねしてるのか見てやろうと思い、いいね欄をクリックしてみた。

最初のいいねに俺の後輩の名前があった。

 

なんでだよ! 時短だろ!!!

 

(この最後にきてるのが今日の一番いいたいエピソード)