今日の玉木雄一郎はかっこよかった!

君は玉木雄一郎という政治家を知っているか。国民民主党という小さな政党で代表をしている男だ。

今日はその男のことについて少し書く。

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このブログの読者ならば、玉木の名前を聞いたのは初めてではないかもしれない(このブログを読んでいないと玉木なんか知らないくらいの物言い)。

 

以前、彼が最低賃金について発言してプチ炎上した際に、俺が「でも言ってることは経済学的には正しいよ」などと擁護したことがある。リンク先は長い話なので読まないで良い。

玉木議員の言う「最低賃金引き下げ」について - 青山日記

 

その時、ついでに俺は次のような事を(彼に対するエールのつもりで)言った。

 

立憲民主党も今や(最初から?)プチ共産党社会党2世で、つまんない揚げ足ばっかりとる一方で国会をサボるような連中で大いにがっかりしていたところに、彼は一筋の風を起こせるんじゃないかと密かに期待している(これまでの加計学園問題における大いなるクソみたいな追求はとりあえず脇に置く)。


このように、普段から「政府から金もらってTwitterやっている」とか揶揄される俺が、野党の政治家で唯一褒めたのが、玉木だった。


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玉木はその昔、「民進党」という、「あべやめろ」という5文字しか言葉を知らない政党に属していて、やはり「あべやめろ」の5文字しか言わない生活をしていた。

 

とくに加計学園問題を追求していた時の彼は、政府の揚げ足を取りしてテレビに映りさえすれば良いという、野党のお手本のようなろくでも無い議員の一人に思えていた。

 

でも、その民進党が分裂し、「立憲民主党」には向かわなかった(比較的なまともな)人を拾い集めた「国民民主党」という、決して大きくない党の代表となった後の彼は、俺から見ると人が変わったようだった。

何でもかんでもダメと言うのではなく、こうしたらもっとマシになるという提案や、アベノミクスの弱点である「家計支援」を軸に据えた経済政策、若者と直接ミーティングをして積極的に声を聞く態度・・・。

これが本当に同じ人なのかな? 似た名前の別人かな?? などと思って、何度かWikipediaで調べたことがある。
同じ人だった。

 

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代表になった後の彼を語る上で外せないエピソードがひとつ。

ある日の国会質疑で、いつものように野党が、壊れたラジカセのようにモリカケ問題をとりあげ、やはり壊れたラジカセのように「アベヤメロ」の5文字だけを繰り替えす中で、国民民主党の代表として質問にたった玉木が安倍晋三に追求したのは、日米の通商問題や北方領土問題だった。
(そして、まさに安倍政権が最も痛いのはその話題だったのだ。)


でも、質疑が終わった後、玉木に駆け寄って握手を求めたのはなんと、痛い話題を追求された安倍晋三本人だった。

 

jijinewspress.com

 

安倍さんにも「いや~~~何年かぶりに、本当にマトモな政策論争をしたわ」という感動があったのかもしれない。

 

これは自民党支持者にとっても感動の場面だった。
モリカケばっかり言って相手にされなかった立憲民主党の連中は、面白くなかっただろうけれど)

 

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でも、これでもまだ俺には玉木に民進党時代の面影が残っているから、まだまだ口先だけの男だと思っていた。国民にウケることを単に言ってるだけでは?


でも、俺がそうした評価をも覆したのは、2019年1月、玉木が本会議で行った代表質問にタブレット端末を持ち込もうとして、与党から阻止された時だ。

 

news.livedoor.com

 

これは俺の推測だが、この時、玉木はちょっと前からやっていた学生たちとのミーティングで、タブレット端末などをもっと活用しろとか、ペーパレスを進めるべきとか、言われたんじゃないだろうか。


その若者とのミーティングから数日後、玉木はタブレットを片手に国会にひとり突撃して、そして与党側に阻止された。「前例がないから」というのが理由だった。

この時に、俺は玉木に、魂のある政治家の姿を見たんだ。

 

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そしてここ数日、玉木の前に、政治家としての大きな岐路が立ちはだかっていた。

数年前に袂を分かった立憲民主党と、国民民主党との合併話だ。

 

立憲民主党は、お金持ちの国民民主党政党助成金目立てに合併を持ちかけてきた。「よりを戻そう」ってわけ。
え、それじゃ何のために「立憲民主党」になったの? 

 

でも、国民民主党の中にはそれを望む声もあって、玉木はそのせめぎ合いに立たされていた。国民民主党も、もともとは希望の党やら、小沢一郎自由党やら、本当にいろんな人達のごった煮みたいになっている党で、中には俺が「ろくでも無い」と呼んでいるような連中もいるってわけ。

 

さて、玉木は困った。
立憲民主党の国会議員の「数」はたしかに魅力だけど、彼はそのために、「消費税を減らす」ことや、「憲法改正」などといった、自分の政治的な「こだわり」を全部手放すことになる。立憲民主党って消費税を減らすことに反対なんだよね。


で、俺は、彼の決断を固唾を呑んで見守った。
政治家としてのこだわりを守るのか、それとも(これまでずっと繰り返してきたよう)野党の合併を繰り返すのか?

 

まあ、多分合併するんだろうけれど、でももし、そうなったら、彼はまた「ろくでも無い野党」の中の一人として埋もれていくことは間違いない。


そしてその結果、安倍政権と自民党は、少なくともあと10年間は無事に与党であり続けると、自民党支持者の俺は内心ホっとしつつも、また内心寂しさも感じていた。


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そんな折、今日、玉木が緊急会見した。

国民民主党 玉木代表 分党の考え示す 立民との合流めぐり | NHKニュース


つまり、国民民主党を分けて、立憲民主党に行きたい人は行く、違う道を進みたい人は新しい党を作る。そして自分は、大きい方(立憲民主党)に行くのではなく、新しい党を作るんだと。

 

しまいにゃ、「理念や政策が異なる人が集まって無理やりに党を作っても過去の反省は生かせない」だってさ。

 

最近、ここまで理想的な政治家の言葉って聞いたことなかった。

しかもおかげで、これで立憲民主党に行くようなろくでも無い議員を追い出したうえ、提案力と良識を兼ね備え、経済政策も立案できるまともな野党の出来上がっちゃったじゃん。

 

これ、本当に、平成以後で真に「まともな野党」の誕生の瞬間に立ち会っているのかもしれない。


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ちなみに、このニュースを受け、Twitterでは、むしろ普段から自民党支持(というか野党不支持?)を公言してはばからない「黒瀬 深」氏や、「アベのせいだbot」氏らも、不器用ながら(というか自分のキャラを崩さないように)、玉木に賛辞を送っていたのが印象的だった。


というのも、この日本に「まともな野党」の誕生を望む声は、自民党に不満を持っている人のみならず、自民党支持者の間にも強かった。

 

というのも、今の自民党は選挙に無敵だった安倍におんぶに抱っこで、その次を任せられる政治家の名前が支持者の間でもすぐには出てこない。
だって最近まで首相にもっとも相応しいと思われていたのが小泉進次郎なんだぜ??

 

とはいえ、野党はもちろん「壊れたラジカセ」なので論外。

安倍晋三がお嫌いだという意見は、Twitterを見ていると自分のフォロワーにも多いけれど、大変恐ろしいことに、個人的に安倍晋三はいまいる政治家の中でももっとも「マシ」なほうの人物だと思う。その後、一体誰が、何をして、日本をどうするんだろう?

この危機感は、何より自民党支持者が一番よく感じているんじゃないだろうか。


でも、今日、こういう決断をした玉木は、そういう状況に一陣の風を吹かしてくれるだろう。

政治に緊張感と、質の高い対話をもたらしてくれる・・・そんな自民党のライバルたる『理想的な野党』に、玉木はなれる。


その結果、彼に対抗するような、政治家としての気概とカリスマを持ち合わせた人物が、きっと自民党からも現れてくれる。

そして、日本の政治が全体的に底上げされ、国民のための政治を行うようになる。このことは、ただひたすら「あべやめろ」を念仏のようにつぶやき続ける他の野党には絶対不可能だ。

 

それが分かってるからTwitterの与党支持者も、立憲民主党と合流するのではなく、自分の道を切り開こうとした玉木に賛辞を送ったのだ。


このままいけば、「まともな野党の登場」を求む少なくない自民党支持者も、比例代表では国民民主党に投票することが増えるんじゃないかと思う。
俺もそうしようかと思っている。
そうなれば、決して遠くない、いつの日にか政権交代ということもあり得る。
むしろ、「政権交代があり得る政治の世界」が理想なんだ。


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というわけで、今日の玉木はかっこよかった! 文句あっか?!

 

玉木くん、今日ほど君のことをかっこいいと思ったのは、タブレット持ち込もうとして阻止されたあの日以来だぞ。

これから、自民党を脅かし、そして政権交代が可能なくらいの偉大な政党を率いてほしい。自分の政策へのこだわりを、これからも大切に。