ネットの中傷を減らすため、「全日本ネット嫌がらせ基金」を作ろう。の話

他人をイジメたり、嫌がらせしようってなると、昔は嫌がらせの手紙なんかを学校の引き出しに入れたりしていたようだけど、それが2000年代頃に「学校の裏サイトでの悪口」になって、今は「捨てアカウントで直接攻撃」が主流だ。

 

春名風花さん、ネット中傷に法的措置 苦しめられた10年間「絶対に引きません」(弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

 

人類というのは余暇が増えると実に様々な嫌がらせを考えつくものだと関心するし、一方で、技術発展にともなって嫌がらせやイジメのコストも下がり続けている。

そして、コストが減ればやる人が増える。これは経済学第一の原理と言っても良い。

(誤解する人がいると良くないから念の為に言っておくけれど、俺はそういう行為をぜんぜん肯定していないし、これから書くことはそういうクソッタレ共をやり返す方法だ)。

 

いちいち学校裏に呼び出してぶん殴りあっていた(非常にコストの高い)昔に比べて、今では人をイジメるのはほとんど安全に、無料で、しかも効果的にできるようになってきている。

そういう状況ならば、気に食わない人がいたらそういうことをやる人が出てくるのもそんなに不自然じゃないし、そういう人は「自分の心無い一言で傷つく人がいるんだ」なんていうお説教なんか聞きやしない。

 

ツイッターでアカウントをとって、一言悪口を言ってログアウトすることは無料で出来る。そして、サブアカウントを無数に持っている皆さんがご存知のとおり、ツイッターのアカウントは実質無限に取れるので、これを防ぐ手段はない。

いたいけでか弱い俺達にできることは、ただ匿名アカウントとのやり取りをシャットアウトすることばかりだ。

 

でも、そういう嫌がらせから受ける痛みを和らげる手段は、あるにはある。以下、その話をする。

 

◯ デモしたら、寄付します。

 

「超ヤバい経済学」という本に、次のようなエピソードがあった。


俺たち日本人にとってはそんなにピンとこなんだけど、アメリカでは人工妊娠中絶手術を巡って、大昔から大論争のマトになってきた。

そういう手術を行っている病院の前では、連日にわたってデモ騒ぎが行われ、医療スタッフや患者らが、名前も知らない大勢の誰かから罵られ、脅迫され、不安な毎日を過ごしていたんだと。

 

そこで、病院側は反撃に出た。「以下、仕組みを説明します」と。


1.これから、もし病院に抗議する人が現れたら、その人数を記録します。
2.その人数に応じて、人工妊娠中絶を支持している団体に寄付していきます。
3.その寄付の額はみなさんに教えてあげます。

 

要するに、自分が病院の前で中絶反対の大騒ぎすると、その分、中絶を推進している団体にお金が入ってしまう仕組みだ。


これでデモ連中はみんないなくなるだろうか。いいや。
でも、デモをやっている連中が、自分たちの行動が敵側への寄付につながっていると知れば嫌な気分だろう。

 

このように、嫌がらせを減らすには、そのことによって自分達が喜ぶ仕組み(あるいは、相手が損する仕組み)を作ったうえで、なおかつこれを相手に知らせることが良い(そうすると、定義によってそれは嫌がらせでなくなる)。

 

相手はそれでも一向に構わないかもしれない、でも、すくなくとも俺たちは、嫌がらせを受けて本当に歓べる仕組みがあれば、嫌がらせによって受ける痛みをずっと減らすことができる。

そのために必要なものはなにか。お金だ。

 

◯ 「全日本嫌がらせ基金」を作ろう。


以下、その仕組を説明する。
驚くほど単純だが、これは一種の保険みたいなものだ。

 

ツイッターや、ブログなどのウェブサービスを始めるにあたって、まずは「全日本嫌がらせ基金」にお金を支払う。

 

ツイッターを通じて何らかの嫌がらせを受けるごと、本人がそのスクリーンショットなどを撮ってその基金に申請する。

 

基金側が審査のうえ、嫌がらせを受けた人にお金を支払う。みんな平和になる、終わり。


あとは自分への嫌がらせを眺めつつ、今後基金から支払われるだろうお金で買う予定のお洋服でも調べていればよい(更にそれを見せびらかせばなお良い)。


もし嫌がらせを受けなければ、最初に支払ったお金も戻ってはこないけれど、それはそれで良かったということだ。

 

すぐに思いつく課題がいろいろ。
まず、誰がその審査をするんだろうというのがひとつ。また、嫌がらせと「手厳しい批判」をどう区別するのか(「氏ね!」などは論外として)。

あるいは、街中の猫を踏んづけて回るようなどう考えてもクズな野郎に対して「死ね」と言ったらそれは悪口なのか。
自作自演する連中も出てくるだろう。顔見知りで氏ねと言い合ってお金を稼ごうとするん連中や、わざと自分を炎上させるような連中も必ず出てくるだろう。

 

でも、このことで俺が言いたいのは、嫌がらせを力ずくで止めさせるのではなく、相手が嫌がらせをすることで得る歓びを少しでも減らす、または嫌がらせによって受ける痛みを減らすための仕組みというのを考える余地はあるということだ。

 

実は既に「ネット炎上保険」みたいなものはある。企業向けのサービスで、月額数十万円支払うかわりに、沈静化のためのアドバイスや、記者会見・謝罪広告費用を工面してくれるもの。
でも僕らがもっと欲しいのは、どこから突然現れて「氏ね」とか言って去っていく連中をどうするかということ(だいたいその人のフォロワーだと相場が決まっているんだが)。

そのためにはもっと細かい支払いを行える基金を創設するのが良い。

 

元ゾゾタウン社長の前澤さんなども、ランダムでばらまくほどの金があるのであれば(筆者に100万円ほど無条件で譲渡した上で)このような仕組みの創設に資金提供してもらいたい。

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余談だけど、個人的には、ツイッターで新たなアカウントを作るのごとに3千円~4千円くらい取ったほうがみんな平和になるんじゃないかと思う。

捨て垢で嫌がらせをするのは、その数千円を払った後だから、それを上回るほど嫌がらせしたいヤツ以外は徐々に消えていくからだ。コストが高まれば、それをする人は減る。。