会社で話すためのゴールデンウィークの思い出話を用意した

今年もゴールデンウィークが終わった。

 


そんな休みなんかねえよという人。

かわいそう。ここに哀悼の意を表する。来年は休めるといいな!

 


しっかり9連休とったよという人。

いやあ~ほんっと今年も実に無駄な連休だった、とにかくヒマで何もやることねえ…。

 


しかし、会社の同僚たちは、やれ北海道行くとか、やれ伊豆の旅館に行くとか、キャンプに行くとか、本当に不思議なくらい色々と予定があるようだった。


こうなると、ゴールデンウィークが終わった後は、みんなで「どこ行った!」「ここ行った!」とかいう旅行トークで盛り上がることになるんだが、そこへいくと「近所のマツキヨに行きました」と言う他に話題がない俺達はどうしよう?

 

というわけで、今回はゴールデンウィークの思い出を思い返してみて、「青山、お前のゴールデンウィークはどうだった?」という時に「こほん・・・俺は・・」などと、以下の話を得意げにしてやろうと思う。

 

○ ぶんぶんぶん、しましょうか^^


ゴールデンウィーク中でもピアノ教室はあった。俺たちピアニストは、一日でもピアノから離れると感覚が薄れてしまうから、休日など無いのだ。たまに酒飲んで酔っ払った時は見向きもしないで床で寝ているが・・。

 

で、そんなピアニストでも、ずっと同じ曲を練習しているとさすがにダレてくる。ダレてくるというかいつまでやっても上手くならもんだから、だんだん弾いてると鬱になって泣けてくる。実に情けないピアニストだ。

 

そこへいくと、ピアノの先生は慣れているから、生徒がだいたいダレはじめているのを見透かしている。

だいたいピアノ教室へはいつもキチンとした革靴で来るのに、それと間違えてナイキのランニングシューズでブラっと来ているような時がそれだ。
(ピアノ教室に来て「可愛い靴はいてますね^^」と言われた時に気がついた)


ランニングシューズなうえ、何となくやる気も無いから適当に弾くことになる。
そうすると、先生の様子がちょっと変わって、楽譜を取り上げられる。

それで殴られるのかな~と思ったら、「ぶんぶんぶん、しましょうか^^」だ。
ぶんぶんぶんってなんだ? 

 

これはこのピアノ教室で最も恐ろしい刑罰のうちのひとつだ。
俺のピアノの先生は、俺のような大人以外にも、小学校低学年のようなガキどもの面倒も見ている。

で、そのガキどもというのは、ピアノがうまくできないと、まるでそれがお決まりの仕事かのようにグズったり、いやいやしたり、不貞腐れたりするもんだ。


そんなとき、先生は「じゃ、今日はレッスンは休憩にして、もっと楽しい曲を弾きましょうか!」と言い、別の楽譜を出してくる。それが「ぶんぶんぶん、ハチが飛ぶ」なのだ。


こいつはリズミカルで楽しい曲だから、ガキどもも途端にご機嫌になって、ピアノへの興味を取り戻すというわけなんだが、先生はどうも、それを俺たちのようなやる気のない大人にも使えるもんだと思って、「ぶんぶんぶんしましょうか^^」とくるわけだ。


「ソ、ファ、ミ(ぶん、ぶん、ぶん) レ、ミ、ファ、レ、ド(はちがとぶ)・・・」


30過ぎた大人が弾くにはあまりも異様な曲なんだが、先生は「はいあと2回」だからな。

 

あまりにも恐ろしい罰だ。
しかも弾いている横から「ちょっと腕に力入りすぎかな」「もっとリズミカルに!」などと、あれ?これ楽しむための曲なんじゃねえのかなと思うのを許さないくらいの鋭い指摘が入ってくる。


お前たちは一度でもいいから、30過ぎた大人の男がちょっとだけ泣きそうになりながら「ぶんぶんぶん♪」と弾いている様子を見たことがあるか。


ついでにいうと、俺がこの刑罰を受けているのはこれが一度じゃない。
だいたいその週に練習しなくて、それが故に上達もせず、したがってやる気も起きずにレッスンを受けていると、突然自分の楽譜をすべて片付けられ、別の楽譜を目の前に出されて「ぶんぶんぶん、しましょうか^^」だ。


これを翻訳すると「そんなやる気ないんだったら罰としてこれだ」ということだ。
やる気あります! しっかりやります!と背伸びしながら言ってももう遅い。
で、それができると次は「キラキラ星」だ。むちゃくちゃトラウマになってきた。

 

○ 俺のチャリだ。


散々ぶんぶんぶんを弾かされたそのピアノ教室の帰り道。自転車に乗っていると、やたらガコガコと揺れる。


パンクか? でも、そんな感じじゃない。走れることは走れるのだから。
いったん降りてみてタイヤを確認してみると、なんと前輪のタイヤが完全に裂けて、中からチューブがニュルンっと飛び出ている。

だけど、チューブは無事だから、パンクにはなっていないというわけ。

いやこれでチューブが破裂していないのが不思議なくらいだ。だってチューブで直に道路を走っているんだからな。

 

とりあえず教室からマンションの駐輪場まで行き、明日近くの自転車屋にでも持っていこうと思ってそこへ止める。

 

で、部屋にはいってコーヒーを飲んでいたら、突然外から、街中に響き渡る音で「パァーーーーーーーーーーン!!!!!」という銃声にも似たような音が響いた。


少なくともマンション中の住人は「なんだ?!」と飛んで外を見るような音がした。
マンションの中で俺だけはその音の正体がだいたいわかった。俺のチャリだ。

 

 

○ ちゅーすんじゃねえ!


そんなわけで家に帰ってきて、ピアノの練習をすればいいんだけれどこれがしない。


ピアノ練習しないで何しているかといえば、「ファイナルファンタジー10」をやっている。

これは知り合いがオススメしてくれて、わざわざPS VITAという携帯ゲーム機ごと貸してくれたものだ。そこまでしてもらったからにはしっかりやる。

 

ところで、大人になってからRPGができなくなった。

理由は以下のとおり。すぐ酒を飲むからだ。


だいたいプレイステーションをセットする時から飲み始め、最初の村を回っている時に酔っ払い、王様に会いに行くところで寝落ちしている。これが基本形だ。

最初の村のセーブポイントでプレイ時間が実に20時間とかになっている。すごい大作をやっているもんだ。

 

でも、PS VITAは携帯ゲーム機だから、仕事に行くまでの通勤時間にできるからいい。俺たちが酒の呪縛から解放されるのはただ仕事をしている間だけなのだ。

 

で、このゲームをすすめていくと、ヒロインの「ユウナ」という可愛い子が連れ去られる。助けに行くが、時すでに遅し、悪のボス(気持ち悪い胸毛男)にキスされる!
おい、チューすんじゃねえ!!


電車の両脇の人がちょっとこっち見るくらいの声で言っちゃったが、そんな場合じゃない。
あらん限りの最強の武器と魔法で殴りつけ、その悪のボスを打ち倒す。
ふう、気が済んだ。二度とこんなことすんなよ!


ヒロインを救出する主人公。
で、その後のシーンで、今度はその主人公がユウナにチューする! 
おい、チューすんじゃねえ!!!

 

○ すげえビール好きな人


休みの最中、埼玉県の大宮というところにあるビアガーデンへ行ってきた。
こんな時期にもうビアガーデン? と思うだろうが、これがオープン記念でちょっと安くなっていて、大宮で働いている知り合いが気を利かせて予約してくれたんだ。

 

みんなもご存知のとおり。ゴールデンウィーク中はよく晴れて、夏のようだった。
俺はもう冬の寒さに見切りをつけて、コートなんてもう全部クリーニングに出したし、タツなんて捨てた。

こんなに暖かいんだからもう寒い日なんてあと10年くらいこないだろ。

 

そんでビアガーデン当日(5月1日)
日本中にとどろく雷鳴、唸る雨風。

いやあ今年一番天気悪いなこれ。どうなってんだ。
けれど、出発する時間になってようやくおさまったから一安心・・・だけど、どうしよう、コートなんてもうクリーニングに出しちゃったよ!


仕方なく半袖のTシャツにペラペラの長袖シャツという格好で外に出る。千葉県だとまだ大丈夫、そこまで寒くない。


だが、みんなも知っているとおり、埼玉県というのは千葉から北に2,000キロほど、飛行機で8時間ほどすすんだ先の極寒の地で、電車降りたところからめちゃくちゃ寒い!! うわあやばい。


しかも、そこから普通の居酒屋じゃなくて、風が吹き荒れるデパートの屋上のビアガーデンだからな。みんなもう寒いってわかってるからファー付きのコートとか着てやがんの。


その中の一人が俺にこう言った「いやあそんなカッコ寒くないですか! そんなカッコでもビアガーデン来るなんてよっぽどビール好きなんですね!
ちがうんだ!

 

IKEAに行けあ


連休中、IKEAに行ってきた。


読者の中には、最寄りの駅から近くの繁華街まで牛に乗って2時間進まなければならないほどの田舎に住んでいる人もいるだろうから一応IKEAとは何なのか説明しておくと、テーブルとか売ってる店だ。


とはいえ、単なる家具屋というわけじゃなくて、IKEAは建物全体がちょっとしたテーマパークになっているんだ。
具体的には、お客さんは決められたルートに従ってぞろぞろ歩いていき、その途中、「一人暮らし」「子供部屋」「ペットのいる部屋」などと、いろんなテーマが決められたお部屋のゾーンを順番通りに体験していく・・・みたいな感じ。

全部ちゃんと見て回ろうと思ったら平気で2時間以上はかかる。これが、興味のないゾーンでも遊べる仕組みもあってなかなか楽しい。

 

そんな中、俺は、コースの途中でちょっとオシャレなコースターを発見した。

普通のコースターと違って、縁があって、しょっちゅうコーヒーをひっくり返す俺のために作られたようなコースターだ。運命の出会いといっていい。

 

家具を見に行って買ってきたのがコースターとか何してきたんだお前みたいな話だが、俺はこのコースターが大変気に入ったから買うことにした。


で、コースの最初の方でこのコースターが売られているのを見つけてしまったもんだから、残りのコースを見て回るなか、ず~~~~~~~~~っとこのコースターを握りしめていることとなる。


途中で、ちょっと気に入ったテーブルの上に置き忘れそうになったり、ソファに座ったときに尻で踏み潰しそうになったり、握力の限界を迎えてさすがにどこかの戸棚の中にこっそり置いていこうと思ったり…。

 

しかし俺はそれでも頑張って、コースがすべて終了した後のお会計のゾーンまでこのコースターを握りしめてきた。やりとげたのだ。


そしたら、このIKEAというのは、知っている人には当然のことなんだが、今まで歩いてきたのは全部「見本」のゾーンで、その中で気に入ったのがあった人のために、最後にお買い物コーナーがあって、そこには今までの見てきたものが全部並んでいる。


もちろんこの手汗に滲んだコースターも無限とも思える数量が天井まで重なっていた。

 

2時間だ。
2時間の道のり、俺はあのコースターを大事に握りしめて歩いてきたというのに、最後にこの無限のコースターだ。この時の悲しみを少しでも伝えたい。


ラソンのレースに出て、一生懸命42キロを走ってきたら、最後にみんなが平和そうに俺を出迎えて「なんだ、地下鉄でも良かったのに笑」とか言っているのと同じ気分だ。

 

見た人ならわかるけれど、映画「ミスト」のラストを思い出した。
スティーブン・キング原作の脅威の映画「ミスト」は、まだ見ていない人ならぜひとも見てほしい。 俺は、たしか大学2、3年の頃にいちどだけ見た。

それからというもの、人から「おすすめの映画は?」と聞かれると、必ずこの「ミスト」と答えるようにしている。そう答えて自分以外の被害者を増やそうとしているのだ・・・。

 

あれ何の話だっけ?

そうIKEAに買い物に行く連中は、決して、コースの途中で見つけたコースターを二時間握りしめている必要なんかない。最後にお買い物ゾーンがあってそこでしっかり無限個買えるから安心することだ。

 

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○ いかがだろうか。


俺がゴールデンウィークの思い出としてみんなに語れるようなことは以上だ。ちょっと盛りだくさんになってしまったが、みんなの喜ぶ顔が今から楽しみだ。

 

あ、あと、肝心なこととして、だいたい、社会人というのがどこかへ旅行へ行くと、みんなにお土産を買ってくることとなっている。だいたいみんな、仙台土産の萩の月とか、北海道土産の白い恋人とか持ってくる。


俺はゴールデンウィーク中に作ったカレーをタッパーに入れて配るつもりだ。

ニンジンがゴロゴロ入っているぞ。