身体測定の話

 

●【社会人にも身体測定があるよ】

 

毎年、会社で健康診断がある。

その中で自分の身長と体重を測るわけだが、俺の精神は基本的に中2くらいの女子だから毎年すごくヤキモキしている。

身体測定当日というのは本当に憂鬱なものだ。お前たちが中3女子だった頃もそうだったろう。働いてからもそうだからな。

 

今回は,俺がいかにこの身体測定に命をかけているかという話をする。

今日まさにその身体測定があって、死にたい気持ちでこれを書いていることを付け加えておく。


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●【たかが誤差,されど死にたい】

 

会社での健康診断は,午前の部と午後の部に分かれている。

内容は同じで,当日の参加人数によってどちらかに割り振られるというわけ。

ここで「午前の部」を引き当てたらおめでとう!!!! 大喜びでお母さんに電話して「午前の部だったよおお!!」と意味不明な電話をするところだ。

 

なぜ午前が喜ばしいのか? 以下それを説明する。

人間の身長ってのは1日を通じてかなり変化する。
変化するというか,朝起きてから夜寝るまでの間,ずっと縮みつづけているんだ。


朝が最も身長が高い時で,それから日中にかけて、重力を受けてだんだんと縮んでいく。


寝る直前,俺たちの身長は1日のなかで一番小さくなっていて,寝ている間に元に戻る。これの繰り返しだ。


だから,同じ人でも,例えば午前中に身長を測れば175センチなのにも関わらず,午後に測ったら174センチだったりする!

いわゆる「誤差」というものだが,これがまさに生死の境目になるのだ!!!

 

169センチと170センチの差だとか,174センチと175センチの差だとか,「たかが1センチ」とはいえ,なんかイメージ的にものすんごい差に思えるような境目ってあるだろ!

 

俺と同じ中学女子ならわかるだろうが,体重49キロと50キロの「1キロ」の差がまるで大型トラック1台分にも思えるよな。


というわけで,馬鹿にならん「誤差」を可能な限り少なくするため,午前中の診断が望ましいのだ。

 

しかし・・・・。

今年の健康診断は悲しいことに「午後の部」。


親戚が5人同時に死んだお通夜ですみたいな顔をして身長を測ってもらったんだが,出てきた結果は案の定,今までで最も低いという結果に終わった。

 

俺はもうどうしたらいいかわからん…。本当に俺自身のお通夜にしてやろうかってくらいだ。


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●【俺たちはゴジラじゃない】


「青山さんって身長何センチなんですか」と聞いてくる女子がたまにいる。
それに対して微妙に顔を引きつらせながら「17・・・・5っすよw」って言うのはもう嫌なんだよ。微妙なウソついてんじゃねえよ!!


就職以後,174.8センチだの,174.6センチだのをウロウロし続けて,去年やっと午前中に身長を測って,「175.0」というハイスコアを叩き出すことに成功した。

身長をスコアだとか言ってるバカが他にいるとは思えないがこれは実に嬉しかった。

 

これでもう、女子から「青山さんって身長何センチなんですか」と聞かれても,自信満々の顔で「176っすよ!」って答えることが出来るんだからな!ウソついてんじゃねえよ。


だいたい,いつも思うんだが,身長ってそんな毎年測る必要あるのか?

学生時代はわかる。あいつらは,この前に赤ん坊サイズだと思ったら今日には数倍に巨大化してるくらいの成長期なもんだから,毎年記録する必要があるんだろう。

だが,俺たちはもうそんな時期は通り越しているわけよ。
去年174センチだった奴が,今年になっていきなり「20メートルと7センチです」とか言われるほど成長することは無いわけよ。どんなシンゴジラなんだよそれは。


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●【身長を伸ばすのために】

 

本当に悲しい。
こんなことなら去年身長を測った直後,アロンアルファをたぷたぷに入れた風呂にでも飛び込んで全身を固めておくんだった。


そうでなかったらどんな手段がありうるだろうか?
一度でも175センチを計測したってことは,俺は朝起きた時は175あるんだよ! 信じてくれ! 

問題は計測の時までに身長が縮んでしまうことなんだ。

というわけで,起床した時に175センチあるとして,そのまま縮まずに身長測定を行う方法を考えてみた。

 

1.ベッドから起き上がらない。

先ほど「俺達は起床してから,重力のおかげでどんどん身長が縮んでいく」と説明した。
ならば,その重力を受けないような方法を考えたらいいわけだ。


そこで手っ取り早いのが「そもそもベッドから起き上がらない」という方法だ。

身長を測るその時まで,ずっと横になったまま,かたくなにベッドから起き上がらない。これなら確実に175センチを計測するだろう。

でも問題がいくつか。

まず,寝たきりだと会社に行けない。
・・・が,これに関してはベッドの下にタイヤがついているもの(よく病院ドラマとかで患者がガラガラ運ばれていくアレ)で寝起きすれば大丈夫だ。仕事も寝っ転がりながらしたらいい。

だけど電車に乗る時に邪魔だというのは大問題だ。
お前たちは過去に一度でもいいから,病院にある搬送用のベッドに寝っ転がりながら地下鉄に乗ってるスーツの男を見たことがあるか? 会社に行く前に警察に捕まるかもしれないからボツだ。

 

2.地球上の重力から離れる。

もうタイトルで出オチな感じもするけれど,一応説明する。

 

身長は、地球上の重力のせいでどんどん縮んでいく。
それなら地球を出ればいいじゃないかという,実に単純な案がこれだ。単純すぎて我ながら大丈夫かなと思うほどだ。

身体測定がはじまる午後まで地球を抜け出し,地球からわずか6分の1の重力しかない月で過ごす。仕事も月でやったらいい。で,時間になったらまた戻ってきて身長を測るというわけだ。

ベッドから起き上がらない「1.」の方法に比べたら,少しは身長が縮むだろうが,それでも175センチは保てると思われる。単純すぎるとは思ったけれど、なかなか効果的な方法じゃないか。
だが問題はどうやって起き上がらずにNASAまで行くかだ。タイヤのついたベッドでアメリカまで行くのかお前は?

 

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※この後に身体測定です。

 

 

3.身体測定の前にみんなで引っ張ってもらう。

同じ職場で働いている同僚たちに,「どうしても身長を175センチにしたいんですボク」と泣きながら頼み込んで,俺の頭と脚を持ってもらい,それぞれ逆の方向へ引っ張ってもらう方法がこれだ。

俺は高校時代から生物の教科書を一度も開いたことがないんでよくわからんが,多分これで身長は伸びると思う。実に涙ぐましい努力だ。

だけど,ちょっとでも伸ばし方を間違えたら首が曲がっちゃいけない方向に曲がってしまい,そのまま死ぬ危険がある。
あれ? 死んだら身長も縮まないんじゃないか? と思ったけれど,死んだらやっぱり電車に乗れないからこれもダメ。

 

4.測る時につま先で立つ。

 

こんなことして保健の先生から引っ叩かれてるバカな男子いたの覚えてるか? あれ俺だからな。

 


5.黒柳徹子になる。


もはや何を言っているかわからんだろうから説明する。
黒柳徹子というタレントがいて,しばしば珍妙な髪型をしている。

あの髪型ならば,身体測定の時にかなり水増しできるはずだ!!

髪の毛は身長に含まれるのか?という法律のギリギリをついた方法で,我ながら考えて「おおおお!!!」って声が出た。

 

だが、一見すると完璧に思えるこのこの方法にも問題がある。
無事に黒柳徹子になった,それまではいい。だが毎週「徹子の部屋」に出なくちゃいけない!
俺のトーク力の無さから言って,30分ものトーク番組は絶対に無理だ。「あなた名前は何でというの? わたし,黒柳徹子といいますが」とか言ってそれから無言だ。と言うかトーク番組に呼んでおいてお互いの名前聞くとか絶対ないだろ。

 

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※この後に身体測定です。

 

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【来年に向けて】


悲しいことだが今回の身体測定は終了した。今の記録を背負って一年間生きていくしかない。

来年こそは何とか対策してハイスコアを叩き出すことに命をかけたいと思う。


そのためにも俺は今からしっかりと「誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール」みたいな自己啓発本を読んで,立派な黒柳徹子になろうと思う。