寝てる間に掛け布団が落ちるんだがどうしたらいい?

あけましておめでとう、ところで俺は夜中に布団を蹴っ飛ばす。

 


俺はあんまり寝相がいいとは言えない。
寝相がいいとは言えないくせにわざわざベッドで寝ている。
寝ているうちに掛け布団を蹴っ飛ばすか何かして床に落としてしまい、その結果、寒さで起きるハメになる。

むくっと起きては、布団を直してまた寝る。夜中の間ずっとこれを繰り返している。むくっと起きては布団を直して、布団を直してはむくっと起きている。

 

酷い時はベッドから俺自体が落っこちる!
そういう時はだいたい何かの夢を見ている時で、過去に覚えている例としては

・木にたくさんのビワがなっていて、近づいたら蜂に追いかけられた夢でベッドから落っこちた。
・道路に財布が落ちてたから(当然のように)急いで拾いに行こうとする夢でベッドから落っこちた。
など。

寝相のせいじゃなくて単にお前が強欲にまみれた夢ばっかり見てるのが悪いんじゃないかという気もしてきた。でも、そういう夢を見ることを改善する方法はきっと無い(すべての欲望を捨てるため、観音菩薩様の神々しいお姿を想像しながら寝たくない)し、ベッドから落ちるのはそう毎日あることじゃないからまぁいいやってなってるんだが、掛け布団を蹴っ飛ばしてベッドから落として寒さで目が覚めるのは毎晩のことだからすごく悩んでいるんだ。

 

そんな部屋が寒いなら、暖房とか付けっぱなしで寝たら(布団を蹴っ飛ばしたとしても)目が覚めないんじゃ?」とか思っちゃった読者がいたら、それはちょっと早トチリさんだ。
うちにある唯一の暖房器具は石油ストーブなんだよな。
だから、うっかりそこに毛布を蹴っ飛ばしてしまうと、たちまち勢い良く燃え始め、やがてマンション中が紅蓮の炎に包まれるよな。目が覚めないから良いだろって言うけど、永遠に覚めないだろ!


あるいは、そんな火事になると、きっとこの街のすべての消防車がたくさんうちへやってくる。そのピーポーピーポーの音がうるさくて寝られやしないだろ!!
だからどっちにしたって暖房器具をつけながら寝るというのはナシだ。


それにしてもこんなに毎晩毎晩、掛け布団が引っぺがされたうえベッドから離れた場所に落ちているなんて、ちょっとした怪奇現象だよな。
本当は自分で蹴っ飛ばしてるんじゃなくて、深夜に何者かがうちに忍び込み、俺にイタズラしてるって可能性はないだろうか。いよいよ疑心暗鬼になってきた。


例えば、国際的にも指名手配されているような凶悪犯罪グループの一員が、うちのマンションの二重のロックをかいくぐり、まんまと我が家に侵入したと思ったら、すやすや寝てる俺にかかっている毛布をそっと剥がして、そしてまた二重のロックを解除して出ていく。これを毎晩のように繰り返しているんだ。
疑問がひとつだけ。何のためにそんなことやってんだこのアホは?

 

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布団がベッドから落ちてしまう原因はいろいろ考えられるけれど、要するに、寝ているうちに布団がどこかへいっちゃうのを防ぐ方法を考えたいんだ。


そこで、いますぐ実行できるものとして、とりあえず以下のようなものを考えた。


1:ファンタスティック・ビースト作戦

寝相の悪さはすぐに治らない、という前提で考えよう。
すると、毛布を蹴っ飛ばしてしまうのも仕方がないということになるから、問題はその後、毛布が床に落ちたまんまじゃなくて、俺の身体に戻ってきたら良いんだ。

 

これから社会人になる人に言いたいが、こうした複雑な問題を全部一気に治そうとすると混乱して余計ダメになるから、まず「これは仕方ないから、ここを治そう」などと、最初に出来ることと出来ないことをはっきりさせることが重要なんだ。で、出来ることから少しずつやる。
そこで、布団が落ちるのは仕方ないと諦めつつ、落ちた後、布団からニョキッと足が生えてベッドに戻って来てくれればいいんだけどなあと思って毛布のことをじっと睨みつけたけれど、これはあんまり効果なかったから2~3時間くらいで睨みつけるのをやめた。
これから社会人になる人に言いたいが、どんなに良い方法だと思ったものでも実際に効果がなかったらすぐやめる、これが大事だ。

 


2:執事作戦

で、次に考えたのが、毛布が落ちたらそのたび拾い上げてそっと掛けなおしてくれる優しい執事を雇うという作戦だ。

いっっっっっっつもそうだけどお前自分の生活で何か不便があると「執事雇いたい」ってなるのやめろよ!

 

やれお酒を飲んでる時の会話の内容をほとんど覚えられないから飲んでる俺のそばで喋ってる内容をひたすらパソコンのワードに入力してくれる執事ほしいだの、やれランニング行く時に来てたウィンドブレーカーが暑くなって脱いだ時に邪魔だから最初から一緒にランニングしつつ俺がウィンドブレーカー脱いだら受け取ってくれる執事ほしいだの、何人召し抱えるつもりなんだよ!俺の家はそんな広くねえ!

 


3:十二単(じゅうにひとえ)作戦

たとえ1枚布団を蹴っ飛ばしたとしても、まだ俺の上には違う布団があれば寒くない。失ってもまだスペアがあればいいんだ。従って掛け布団を12枚重ねで掛けるというのが本作戦のポイントだ。


これは平安時代の女性が着物を幾重にも重ね着した十二単からヒントを得た着想だ。
その時代の人達も寝相が悪くて、寝ているうちに自分の着ている衣服を脱いでぶん投げてしまうんで12枚も重ね着したという経緯があるのだという。

これは実効性があると思って、早速、うちにあるタオルケットだの夏用の掛け布団だのを出してきていっぱい重ねて寝てみた。

で、その結果、まず掛け布団が重くて非常に寝づらい
そして蹴っ飛ばすときは12枚まとめて蹴っ飛ばす!!
まるで意味がなくどうしょうもない作戦だった。
おまけに夜に起きて見るとベッドの周りに12枚の散らかった掛け布団が散乱していて、俺は抗議の意味も込めてこれを3日くらい片付けなかった。
誰に対する抗議なんだ。


4:リバーシブル・ベッド作戦

これは文字で説明するより図を見てもらったほうが理解が早いと思う。

 

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普通こうだが、

 

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このように寝ると毛布が外れることは無い。

これは今までで最も効果がありそうな作戦で、考えついた時にひとり「やった」と呟いた。

 

5:梱包作戦

毛布と自分をガムテでぐるぐる巻きにして固定するというシンプルな方法がこれだ。
ちょっとした頭の不具合によって施設で入院している人とかがよくやられるやつだ。
俺もそんなに自分の頭が正常じゃないと思う時あるからこういう措置も仕方ない。
で、やってみたけど毛布にガムテってくっつかないな~。なんの抵抗もなく剥がれちゃってダメだった。

ガチの入院患者のように、ロープか何かで自分の身体をベッドにかんじがらめにする、という方法もいいと思うんだけど、問題がひとつ。
朝起きて、毛布がそのままなことに安心している俺をベッドから解放するのは誰なんだろう? ヘイSiri! 救急車呼んで!などとiPadに向かって大声出すほかなくなるんでダメだ。


6:布団クリップ作戦

ネットで「掛け布団 落ちる」とかで検索すると(現代に生きる利口な人間たちはまずそうしているようだ)、世の中には布団クリップっていう製品があるらしい。

 

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これは、片側のクリップを掛け布団に、もう片側のクリップをマットレスに装着することで、寝ている時にいかに大暴れしたとしても布団がどこかにいかない、という優れものなんだそうだ。

早速Amazonでポチったから、今から届くのを楽しみにしているなんだが、これを同僚に話したところ「そんなものを掛け布団の片側に装着したって、もう片方から蹴っ飛ばしちゃったら、まるで開いたドアの扉のようにべろんって剥がれてしまってそれっきり、お前の身体が吹きさらしになるのに変わりないんじゃないか?」などと、物理や力学の法則をまるで理解していない助言めいたことを言い出したから、今日も布団を剥がしにやってきた国際的にも指名手配されている凶悪犯罪グループの一員にお願いしてこの同僚を殺害してもらい、遺体は掛け布団に包んでビワの木が生い茂る山に捨ててきた。


今からこの布団クリップを使うのが楽しみだ。
が、これもまるで効果が無いとしたら、いよいよ俺は自分の身体の上にベッドを逆さまにして置いてから寝ようと思う。