みんな~極限の状態で割り算したことあるか~?
地元の駅から動物園までは電車で1時間ほどかかるが、その間はだいたい年頃のティーンのように、例えば可愛いワンピースを見つけたとかおしゃれな靴を買ったとか、この冬おすすめのリップは何だとか都内近郊にマンションを買うとしたら通勤や資産価値の面から言ってどこが良いのかなどの話をしている。
その友人は俺と違って理系の大学出身の人で、だいたいどんな話でも理系に絡めた話をしてくるから、文系の俺には時々よくわからないことがある。俺は美味しいスイーツバイキングの話をしていたつもりが、いつの間にか「ガウスにはこんな名言がある*3」なっているのが本当に不思議だ。
その日も、その友人は「数学において微分とは何か」という、俺たちが聞いたらどんな深刻な不眠症に悩んでいても60秒以内に朝までぐっすりできそうな*4話題を振ってきたもんだから、基本的には俺は頷くふりをしつつスマホ版の実況パワフルプロ野球を遊んでいたんだ。
で、大体の発言をおおむね聞き逃している中で*5友人が「微分というのは、極限の状態で割り算をしていくということで...」という発言をしたのを覚えている。
この続きの話もまるで覚えてないけれど、ここだけは耳に残った。
俺は思う。極限の状態で割り算をしている人、すごく見てみたい!
とりあえず両足はキンッキンに冷えた氷水に漬けておいてほしい。
もちろん周りは火事で、燃えさかる家の柱が今にも自分に向かって崩れ掛かりそうな、その時に「6÷2」だからな*6。
実に勇ましい。勇ましいがこれのどこが微分なんだ? それを友人にまた聞くと、実際に話を聞いていないことがバレるので*7誰か教えてくれ。
地上100メートルのビルとビルの間に通した一本のロープの上を、命綱無しで一輪車でくねくね渡るという極限の状態で「12÷4」の、何が微分なんだ?*8
この友人に関する話はほかにも色々とできるから、いずれ日を改めて紹介したいと思う。